宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、インドネシア共和国・ジャワ島中部にて27日発生した地震の被災地について、本日、陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のフェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ(PALSAR)及び高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR-2)を用いて観測を行い、観測画像を国際災害チャータ※1およびインドネシア国立航空宇宙研究所(LAPAN)※2に提供致しましたのでお知らせします。
提供した観測画像は別紙のとおりです。
*フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ(PALSAR)は経済産業省(METI)と宇宙航空研究開発機構が共同で開発したセンサです。
※1 国際災害チャータ:(参考)をご参照ください。
※2 インドネシア国立航空宇宙研究所(LAPAN):(参考)をご参照ください。
別紙

図 1
図1は、フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ(PALSAR)が5月28日11時40分頃(日本時間)に観測したジョクジャカルタ付近の画像(右下)と、地震前(本年5月16日)に観測した画像(右上)の比較です。
PALSARのレーダ波の反射強度の分布(テクスチャ)を、地震前(5月16日)と地震後(5月28日)で比較すると,震源近くのみならず市街地全般にわたり地震後に値が小さくなる(画像上では暗くなる)ことが確認されました(特に顕著な地域を赤い丸で示す)。一般に、レーダの反射波の強度分布は、市街地で大きく、森林で小さいことが知られています。
テクスチャの減少は人口構造物の倒壊によって生じていると解釈できることから、本震災が相当大きいことが分かります。
別紙2

図 2
左図は、高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR-2)が5月28日午前11時40分頃(日本時間)に観測したジョクジャカルタの市街地の画像です。右図は5月16日の同地域の画像です。
参考
国際災害チャータの概要
(1)正式名称
自然または人為的災害時における宇宙設備の調和された利用を達成するための協力に関する憲章
(2)参加機関・利用衛星
参加機関 | 利用衛星 |
欧州宇宙機関(ESA) |
ERS, ENVISAT |
仏国立宇宙センター(CNES) |
SPOT |
カナダ宇宙庁(CSA) |
RADARSAT |
インド宇宙研究機関(ISRO) |
IRS |
海洋大気庁(NOAA)、米国地質調査所(USGS) |
POES, GOES, LANDSAT |
アルゼンチン国家宇宙活動委員会(CONAE) |
SAC-C |
英国立宇宙センター(BNSC) |
DMC(Disaster Monitoring Constellation) |
宇宙航空研究開発機構(JAXA) |
ALOS(定常運用開始後) |
*JAXA は平成17年2月に加入
(3)目的
2000年に発足した国際災害チャータは、災害発生時に参加機関間で最善の努力ベースでの地球観測衛星データの無償提供を行うことにより、自然災害等に対する各宇宙機関の貢献を推進する枠組み。
(4)協力体制
・災害チャータ参加機関と防災関係機関で構成。
・参加機関間での資金の授受はなし。
・参加機関間の調整は、各参加機関代表から構成される委員会及び事務局により行われる。
同事務局のURL:
http://www.disasterscharter.org/main_e.html
インドネシア航空宇宙庁(LAPAN)との協力
JAXAとLAPANは、平成17年度から、「だいち」(ALOS)の観測データの利用実証のためのパイロットプロジェクトを進めており、JAXAから「だいち」(ALOS)観測データをLAPANに提供し、LAPANがインドネシア政府機関と協力して、「だいち」(ALOS)観測データを活用する予定です。