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X線天文衛星「すざく」の観測データについて

平成18年10月5日

宇宙航空研究開発機構

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が平成17年7月10日に内之浦宇宙空間観測所から打ち上げたX線天文衛星「すざく」(ASTRO-EII)は、X線天文衛星「あすか」で発見されたブラックホールの時空のゆがみを示す鉄輝線についてこれまでにない精度のデータを日米欧の科学者からなる「すざく」チームが取得しました。
 本成果は、現在サンフランシスコで開催中の米国天文学会 高エネルギー天文学部門において日本時間10月6日(金)午前4時30分に発表されることになっており、概要については下記のとおりです。
 また、論文として日本天文学会欧文研究報告(Publications of the Astronomical Society of Japan)の「すざく特集号」(2006年11月30日発行予定)に掲載される予定です。



【米国天文学会発表概要】
 1993年に打ち上げられたX線天文衛星「あすか」によって、遠くにある銀河の一つであるMCG-6-30-15において活動銀河核のX線の中に、幅の広い鉄輝線が存在することが発見されましたが、これまでは観測した結果不確定な部分が大きく、広がった輝線の存在そのものを疑問視する意見もありました。
 今回、「すざく」の観測により、不確定な部分が取り除かれ、ブラックホールの強い重力の影響による鉄輝線の広がりの存在が確認され、「あすか」の発見を確定的なものにしました。
 これにより、鉄輝線を利用したブラックホールの精密測定への道が拓かれることが期待されます。
【参考】
 鉄輝線・・・鉄は単色のX線(輝線)を出し、宇宙で6番目に多い重元素でかつ、このエネルギーの近くには、他に強いX線が存在しないので、宇宙での観測に適したものです。
 ブラックホール自身が高速で回転すると重力の影響で周辺の時空をひきずるため、輝線の広がり方に違いが生じます。今回の「すざく」の観測で、この違いが観測されており、これは、時空のゆがみについての新しい情報の一例です。
 また、「すざく」の特集号の内容については、あらためてお知らせいたします。

 
※米国天文学会での発表内容を要約しましたので、以下のホームページをご覧下さい。
http://www.astro.isas.jaxa.jp/suzaku/flash/2006/1005/

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