プレスリリース

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陸域観測技術衛星「だいち」の衛星画像データ活用推進のための、
広島工業大学と宇宙航空研究開発機構の協力について

平成18年11月30日

広島工業大学
宇宙航空研究開発機構

広島工業大学と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、JAXAが2006年1月に打ち上げた陸域観測技術衛星ALOS(愛称「だいち」)の衛星画像データの活用を密接に協力して推進していくことを西日本地区でははじめて合意しました。
広島工業大学は、文部科学省の学術フロンティア推進事業の研究拠点として指定されており、JAXAの「宇宙オープンラボ制度」を活用し、地域の産学官連携に基づく「地球観測衛星情報を活用したリアルタイム電子国土情報ビジネス」の実現に取り組んでいます。このため、「だいち」のデータの迅速な利用の可能性を検証する目的でデータの直接受信を行うことをJAXAと合意しました。さらに今後はJAXAとの密接な協力のもとで「だいち」をはじめとする地球観測衛星の利用を推進する地域拠点として活動していくことを計画しています。
これらの取り組みを通じ、広島工業大学及びJAXAは、相互の連携により「だいち」のデータをさまざまな方面で活用し、安全で豊かな地域社会の発展に貢献することを目指します。


(参考1:「だいち」について)
「だいち」は、2006年1月24日にJAXAが打ち上げた最新の地球観測衛星です。
「だいち」は高精度な標高抽出を行うパンクロマチック立体視センサ(PRISM)、土地の被覆や利用状況を観測する高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR-2)、昼夜や天候に左右されずに陸域観測が可能なフェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ(PALSAR)を搭載し、従来にない高精細な観測データの取得を可能としています。さらに、高速・大容量データハンドリング技術と高精度位置姿勢決定技術もともなって、高分解能の陸域観測に威力を発揮し、高精度の地図作成、環境観測、地形変化、防災・災害状況の把握、農林水産業、資源探査、雪氷観測などの幅広い分野での利用が期待されています。

ALOS主要諸元
打ち上げ: H-IIAロケット
@種子島宇宙センター
衛星重量: 約4t
発生電力: 約7kW(寿命末期)
軌道: 太陽同期準回帰軌道
回帰日数:46日
(サブサイクル:2日)
高度: 約690km


(参考2:「だいち」の直接受信について)
「だいち」が観測したデータは、基本的にデータ中継技術衛星「こだま」経由でJAXA地球観測センターで受信しています。これに対し、衛星からの直接受信は、限られた場合にのみ行うこととしていますが、今般、データのリアルタイム性を生かした新たな利用手法の開拓の取り組みとして、広島工業大学が直接受信を行うことが合意されました。

(参考3:地球観測衛星の利用を推進する地域拠点について)
地域拠点は、地域での衛星利用の促進を図るため、JAXAが導入を進めている仕組みです。地域拠点では、地域のニーズを的確に把握し、衛星データの解析・処理・提供を行い、提供後もきめ細やかなユーザのフォローを行うことを想定しており、高度の専門的知見と技術を有し、地域に密着して活動する機関がその役割を担うことが期待されています。今般、広島工業大学とJAXAは、広島工業大学を「だいち」データの利用促進・技術指導に関する地域拠点として相互に連携を深めていくことで合意し、具体的な連携内容についての調整を開始しました。

(参考4:「宇宙オープンラボ制度」について)
「宇宙オープンラボ制度」は、平成16年よりスタートした、ユニークなビジネスアイデアや優れた技術を持つ企業等と、技術的知見を有するJAXAの連携で、新しい宇宙ビジネスの創出や地上技術の宇宙応用を目指すプログラムです。
「地球観測衛星情報を活用したリアルタイム電子国土情報ビジネス」は、環境、防災、測量からネット地図まで、さまざまなニーズに対応した衛星地図情報をワンストップで提供するビジネスを目指すもので、広島工業大学が蓄積した豊富な衛星観測データや独自にリアルタイムで取得する衛星画像を専門の技術者がニーズに合わせて解析して提供します。
前年度は、アメリカ航空宇宙局(NASA)、ヨーロッパ宇宙機関及びイスラエルの衛星を使用して以下の成果を得ました。

(1)地盤変動監視事業モデル
衛星のレーダ波による観測データを用いて地盤変動の検出を行い、現地調査等による地盤沈下計測結果とよく一致することを確認し、衛星データによる地盤変動計測の事業モデルの可能性を明らかにしました。

(2)土砂災害監視事業モデル
高分解能の立体画像データによる3次元数値地形情報の生成ならびに、土砂災害危険箇所の地理データとの合成画像の生成により、危険箇所や危険度、対策の優先順序策定を支援する事業モデルの可能性を明らかにしました。

【参考資料】※ALOSパンフレット、産学官パンフレット
地球観測衛星情報を活用したリアルタイム電子国土情報ビジネス
【宇宙オープンラボホームページ】http://aerospacebiz.jaxa.jp/solution/open-labo/


<お問い合わせ先> <担当部門お問い合わせ先>
広島工業大学 企画広報室 広島工業大学環境学部地球環境学科
高度地球環境情報研究センター
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Tel:082-921-4176
Fax:082-921-8934

Tel:082-921-9406
Fax:082-922-5204
宇宙航空研究開発機構 広報部 宇宙航空研究開発機構 衛星利用推進センター
川井孝之
Tel:03-6266-6413〜7
Fax:03-6266-6910
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Fax:029-868-5987



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