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「宇宙日本食」の認証基準の制定について

平成18年12月5日

宇宙航空研究開発機構

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙飛行士へ供給するための宇宙食の認証基準を整備いたしましたのでお知らせいたします。
 この認証基準は、日本国内で製造された食品について、衛生面、栄養面、品質面に加え、ISSへの供給という特殊性を考慮し、保存面、調理面、無重量環境での摂食性などについて要求事項を規定したものです。今後、食品メーカなどから提案される食品について当該基準に基づき審査を行い、基準を満足する食品については、「宇宙日本食」として認証を行います。
 「宇宙日本食」については、ISSに滞在する宇宙飛行士が搭載宇宙食として選定した場合、ISSに運ばれ滞在期間中の食事メニューに加えられます。
 なお、JAXAとしては、平成19年度に開始を予定している「きぼう」日本実験棟(JEM)の組立てミッションから「宇宙日本食」をISSへ供給することを目指しています。
 「宇宙日本食」が日本人宇宙飛行士をはじめとするISS滞在宇宙飛行士に広く提供され、ISSに長期滞在する宇宙飛行士の健康維持等に資すると共に、将来的には地上での食生活、非常時用の保存食、栄養強化食品等にも応用が可能となる成果が生まれることを期待しています。



1.問い合わせ窓口:
   
宇宙航空研究開発機構 宇宙基幹システム本部 有人宇宙技術部内
「宇宙日本食」事務局
住所:〒305-8505 茨城県つくば市千現2-1-1 筑波宇宙センター
電話:029-868-3197
FAX :029-868-3950
電子メール:SPACEFOOD@jaxa.jp
問い合わせ時間:平日 10:00-12:00、13:30-17:00

2.今後のスケジュール

12月5日(火) 「宇宙日本食」の認証申請受付開始


別添1:認証基準の概要
別添2:認証基準整備の経緯

参考リンク:「宇宙日本食」ホームページ



別添1:認証基準の概要

 宇宙日本食認証基準は、ISS計画に参画する全てのパートナーが合意した「ISS Food Plan」の要求を、我が国の食品安全基準も遵守しながら、具対的な要求事項として規定するもので、食品製造業者がJAXAから宇宙日本食として認証を受けるために遵守する必要がある基準やプロセスを明確化したものです。


 本基準の概要は以下のとおりです。

  1. 製造設備等の設置場所及び宇宙日本食製造に当たって有すべき設備の要求
    日本国内に各種製造設備・分析設備等を有することを規定


  2. 製造設備の衛生管理体制の要求
    米国航空宇宙局(NASA)が開発したHACCP(ハザード分析に基づく重要管理点)または、それに準じた衛生管理を行うことを規定


  3. 食品に対する要求
    (1)衛生面: 微生物検査基準を規定(NASA基準準拠)
    (2)栄養面: データを取得すべき栄養成分項目を規定
    (3)品質面: 水分活性検査、粘度検査、官能検査基準を規定
    (4)保存面: 軌道上での9ヶ月間の品質保持要求に応えるため、12ヶ月間の定温庫による保存試験、及びその前後の検査を実施することを規定
    (5)包装の完全性:減圧検査、耐圧要求、耐寒・耐熱要求等を規定


  4. 容器包装に対する要求
    既定の容器または基準を満たす容器を使用することを規定


  5. ラベルに対する要求
    容器包装に貼付するラベルの記述内容及びラベルサイズを規定


  6. 検査の実施機関についての要求
    食品衛生法及び健康増進法の登録検査機関にて食品の検査を行うこと等を規定


  7. 認証プロセス
    認証に必要な検査・試験結果をもって、宇宙日本食事務局(JAXA)に認証申請を行うこと等を規定


  8. 認証期間
    認証期間は認証日から5年とし、製造業者の希望により認証期間の更新が可能(検査データの再提出が必要)であること等を規定


別添2:認証基準整備の経緯

 国際宇宙ステーション(ISS)計画においては、従来は米国(NASA)及びロシア(FSA)がISSに滞在する宇宙飛行士の食事を提供してきました。しかし、国際パートナーの宇宙飛行士が長期滞在を開始し、滞在期間が長期化してきた状況を踏まえ、宇宙食メニューのバラエティを増やす必要があることから、一昨年の秋、米国及びロシア以外の国際パートナーも、自国の食品を独自に開発し、ISSに提供する枠組みと基準が整備されました。

 JAXAでは、日本人宇宙飛行士をはじめとするISS長期滞在宇宙飛行士に日本製食品を宇宙食として供給するため、平成16年10月より(社)日本食品科学工学会を通じ国内の食品製造企業等(表1)の協力を得て、宇宙日本食の認証基準及びパッケージの検討を行いました。

 その過程で、食品製造企業等に主菜(各種米飯)や副菜(カレー、魚料理等)、スープ、デザート、飲料、調味料等、35品目(表2)の食品について試作いただくと共に、容器包装メーカの協力を得て、JAXA独自のパッケージ(写真1)を開発しました。


表1 認証基準整備における協力企業
会社名(五十音順)協力内容
味の素株式会社 宇宙日本食の試作
尾西食品株式会社
カゴメ株式会社
キユーピー株式会社
日清食品株式会社
ハウス食品株式会社
マルハ株式会社
三井農林株式会社
明治乳業株式会社
山崎製パン株式会社
ヤマザキナビスコ株式会社
理研ビタミン株式会社
大日本印刷株式会社 宇宙日本食用パッケージの試作


表2 宇宙日本食試作品リスト
区分 No. 食品
主食   1 おにぎり
2 白米
3 赤飯
4 山菜御飯
5 白がゆ
6 紅鮭がゆ
7 玄米がゆ
8 しょうゆラーメン
9 カレーラーメン
10 シーフードラーメン
副菜 11 完熟トマトと魚介のリゾットソース
12 五目御飯ソース
13 ビーフカレー
14 ポークカレー
15 チキンカレー
16 イワシのトマト煮
17 サバの味噌煮
18 サンマの蒲焼き
汁物 19 卵スープ
20 わかめスープ
21 清まし汁
デザート 22 ソフトクッキー(ブルーベリー)
23 ソフトクッキー(ゴマ)
24 黒飴
25 ミントキャンディー
26 練り羊羹
27 栗羊羹
飲料 28 緑茶
29 ウーロン茶
機能性飲料 30 野菜ゼリー(ニンジンタイプ)
31 野菜ゼリー(リコピン強化)
32 アミノ酸ゼリー
調味料 33 トマトケチャップ
34 野菜ソース
35 マヨネーズ




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