3月25日午前9時42分頃能登半島沖(輪島の西南西約40km)を震源とする「平成19年(2007年)能登半島地震」が発生しました。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は,陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)による緊急観測を実施し,観測画像を解析した結果,被災地の様子を捉えることができました。
図1は3月28日10時50分頃に「だいち」搭載の二つの光学センサ,プリズム(PRISM)*1とアブニールツー(AVNIR-2)*2で撮影された画像から作成した2.5m分解能のカラー合成画像(パンシャープン画像)*3です。図2は図1の部分拡大画像です。図3は被災前の2006年8月10日に観測され,同様の処理を施したパンシャープン画像です。図2と図3を比較すると土砂崩れの様子などが確認できます。
なお,「だいち」で観測されたデータは随時,国土地理院,警察庁,林野庁へ提供しています。
※本件に関する問い合わせ先
宇宙航空研究開発機構 (筑波宇宙センター)
宇宙利用推進本部 事業推進部 業務課
佐々木, 奥田
Tel: 029-868-5277,5288
*1 プリズム(PRISM):地上2.5mの大きさが識別できる能力(地上分解能)を持ちますが,得られる画像は白黒画像です。
*2 アブニールツー(AVNIR-2):カラー画像が得られ,衛星直下で10mの地上分解能を持ちます。
*3 パンシャープン画像:高分解能の白黒画像と低分解能のカラー画像を組み合わせて,合成された高分解能のカラー画像をパンシャープン画像と呼びます。ここでは,ナチュラルカラー合成したAVNIR-2画像を「色相(Hue)」,「彩度(Saturation)」,「明度(Intensity)」に変換(HSI変換)し,明度をPRISM画像で置き換えて再合成することで地上分解能2.5mのカラー画像を作成しました。
【図1】

2007年3月28日観測のPRISM, AVNIR-2画像から作成したパンシャープン画像
(右のイラストは衛星画像の位置を示しています。)
【図2:被災後】
被災後の3月28日観測画像の拡大(左:輪島市門前町深見付近, 右:輪島市輪島崎町付近, 赤丸は被害地域を示す)
左図では崩れた土砂が道路を封鎖している様子,右図では斜面が崩壊し茶色い土が見えている様子が分かります。
【図3:被災前】
被災前の2006年8月10日観測画像の拡大