国立大学法人東京大学(総長 小宮山宏、以下「東京大学」)と独立行政法人宇宙航空研究開発機構(理事長 立川敬二、以下「JAXA」)は、このたび、相互の研究開発能力及び人材を活かして総合力を発揮することにより、学術研究と教育の発展、宇宙及び航空に関する科学技術の向上、並びに宇宙開発利用の促進に、新たに重要な役割を果たすことをめざし、相互協力が可能な全ての分野における研究開発や教育・人材育成等で幅広い連携をめざした連携協力協定を締結することに合意しました。
東京大学とJAXA は、従来より理学研究や工学研究における大学院教育に関する連携や、地球観測に関する研究協力、科学衛星に関する研究開発協力等といった宇宙航空科学技術分野における共同研究等進めてまいりました。このたびの連携協力協定の締結により、これまでの活動がより一層活発に行われるとともに、東京大学大学院における「社会連携講座」の設置及び共同運営、並びに宇宙航空科学技術に関する組織的な共同研究の実施等、新たな協力関係を構築します。この協定が、より積極的な人的交流を生み、その過程を通じて次世代を担う人材を育成する等、我が国の学術及び科学技術の発展に大きく貢献するものと期待されます。
■ 連携協力の概要
1.共同研究の促進
- 対環境、安全性の向上、次世代システムの創出などの航空科学技術分野での組織的な研究協力
- 科学衛星の共同運用や科学ミッションの検討等の宇宙科学の推進への協力
- 人工衛星による地球観測データの利活用といった宇宙開発利用に関する研究協力
- その他全組織間、幅広い分野での共同研究契約の効率化など促進策による連携協力
2.社会連携講座の設置
「社会連携講座」とは、東京大学大学院工学系研究科が受け入れる共同研究の一環として運営される講座であり、特定分野の共同研究及び教育を期間を定めて推進し、社会のダイナミズムに対応して広く社会との連携を確保して研究を進めるとともに、学術と社会の発展に貢献する者の養成を社会と連携して積極的に推進する講座です。
このたび、ロケットエンジンのシミュレーション技術の高度化に関する研究を本講座にて実施予定であり、「10年間で世界トップクラスの技術力取得」を目指すとともに、JAXA におけるロケット信頼性及び成功率向上等に貢献することを目的とします。
3.連絡協議会
東京大学及びJAXA は、より効果的に、かつ適正に連携協力を推進するため、連絡協議会を設置し、年1回以上開催いたします。さらに連携協力の具体的案件の検討を実施するため、連絡協議会の下に航空分野等協力分野や協力事項検討のための分科会を設置、実効性のある運営を行います。
4.イベント等
- 学際理工学講座(*(に関する記念シンポジウムを本年11月26日に開催します(別紙案内参照)。
- 航空科学技術関係ワークショップの定期的な開催を検討しており、初回は本年12月を予定しています。
(*)学際理工学講座:東京大学大学院の理学系4専攻と工学系4専攻に『併任講座』を設け、そこにJAXA の合計約30名の『教育職研究者』が『併任教員』として参加し、東京大学本務の教員と対等な立場で大学院教育(大学院生の指導、大学院講義、博士学位審査など)に参画するというもの。学際理工学は、東京大学のみの仕組みで、JAXA だけでなく、高エネルギー加速器研究機構(KEK)、および国立情報学研究所も対象となっている。
別紙:東大-JAXA 学際理工学20周年記念公開シンポジウム「宇宙科学と大学」のご案内(PDF:109KB)