宇宙航空研究開発機構
宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)は、平成20年11月5日から7日にかけて、本年2月23日に打ち上げた超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)を用いて、海外に設置した地球局に向けてマルチキャスト(特定した複数拠点への同報配信)実験を実施した結果、正常に伝送が出来ることを確認いたしました。
これまで「きずな」の搭載交換機によるマルチキャスト機能は国内向けアンテナを用いて確認しておりましたが、今回は筑波宇宙センターに設置した地球局から、タイの国家電子コンピュータ技術センター(NECTEC:National Electronics and Computer Technology Center)およびフィリピンの高度科学技術研究所(ASTI:Advanced Science and Technology Institute)に設置した地球局に対し、マルチキャスト伝送を行い、東南アジア向けアンテナでも正常に動作することを確認しました。これにより特定した多数のユーザに対して同報配信(例えば複数拠点への遠隔教育サービスなど)を可能にします。
また「きずな」による高速データ伝送の特徴を活かし、月周回衛星「かぐや(SELENE)」搭載のハイビジョンカメラ(HDTV)で撮影された月面および地球のハイビジョン映像をマルチキャスト伝送することにより、NECTECおよびASTIの海外における実験参加者に対し、JAXAにおける宇宙開発状況の紹介もあわせて実施いたしました。
今後は東南アジア地域に順次地球局を設置してマルチキャスト実験を行い、「きずな」における東南アジア向けアンテナの正常性を継続して確認していきます。また、これら海外に設置した地球局を利用して、日本と海外との間で「きずな」の利用実験が行われる予定です。