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宇宙航空研究開発機構(JAXA)と
国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)との
世界遺産監視に関する協力取り決めの締結について

平成20年12月2日

宇宙航空研究開発機構

 宇宙航空研究開発機構(以下、「JAXA」)と国際連合教育科学文化機関(以下「ユネスコ」)は、人類共通の世界遺産の監視保護に役立てるため、JAXAの陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)を利用した世界遺産監視協力に関する取り決め(MOU)を締結しました。

 ユネスコは、これまで欧州宇宙機構(ESA)等と協力して、2003年より「世界遺産条約支援のための宇宙技術の利用に関する公開イニシアチブ」*1において、衛星による世界遺産の監視を実施し、その保護に役立ててきました。
 一方JAXAは、2006年1月の陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)打上げ以降、約3年間にわたって全球の観測を続けています。その中で世界遺産の観測データも蓄積されてきました。

 このような背景のもと、両者は「だいち」のデータを用いることにより可能な協力について協議を行い、今般取り決めの締結に至りました。

 本取り決めにおいて、JAXAはユネスコに対してアジアを中心とした国内外10箇所の世界遺産*2を、年2回程度撮像し、画像の提供を行うことに合意し、加えて、これまで「だいち」で撮像した世界遺産の画像をデータベース化して公開することを予定しております。ユネスコは提供されたデータを、世界の関連研究機関、遺産保有国とともに遺産の保護活動に役立てる予定です。

 人類共通の普遍的価値を持つ世界遺産を保護し次世代に引き継ぐため、両者はそれぞれの持つ役割を最大限に生かして、協力を進めてまいります。

 なお、本取り決め締結にあたっては、平成20年12月2日、JAXA東京事務所において、坂田文部科学審議官はじめ文部科学省関係者及び山本ユネスコ日本政府代表部大使にもご出席いただき、立川JAXA理事長と松浦ユネスコ事務局長が調印する署名式を執り行いました。


  • *1 世界遺産条約支援のための宇宙技術の利用に関する公開イニシアチブ
    2003年、ユネスコと欧州宇宙機関(ESA)が中心となって開始した宇宙技術を用いた世界遺産監視保護のための協力。参加機関は、世界遺産の監視保護という共通の目的のために、それぞれが可能な範囲の技術、支援内容により協力を行う。
    現在のところ、同イニシアチブには、欧州宇宙機関(ESA)のほか、フランス国立宇宙研究センター(CNES)、ドイツ航空宇宙センター(DLR)、カナダ宇宙庁(CSA)、米国航空宇宙局(NASA)、NASAジェット推進研究所(JPL)、米国地質調査所(USGS)、(インド)国立リモートセンシング機関(NRSA)、中国科学院、イラク、シリア、ブラジル、レバノン、アルゼンチン、エジプト、モロッコ等が参加(24宇宙関係機関)している。

  • *2 だいちの観測対象サイト(現在調整中、だいちセンサーの特徴から自然遺産中心に選択予定)
    白神山地、屋久島、知床(以上、日本の自然遺産)、アンコールワット、四川ジャイアントパンダ保護区、サガルマータ国立公園(ネパール)、マナス野生生物保護地区(インド)、ハロン湾(ベトナム)(以上、アジアの自然遺産)、カラクムル遺跡(メキシコ)、マチュピチュ(ペルー)(以上、ユネスコ本部の要請)


(参考)
・世界遺産について
「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づき登録された世界遺産には、文化遺産、自然遺産および複合遺産があり、本年7月現在、世界におけるその登録数は、文化遺産679件、自然遺産174件、複合遺産25件(うち、日本は文化遺産11件、自然遺産3件)