宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)を使用した、初の遠隔教育(eラーニング授業)実験を大阪大学と共同で下記の通り実施しましたのでお知らせいたします。
本実験では、JAXAの可搬型地球局及び大阪大学の超鏡システム(ハイパーミラー)※を、大阪府八尾市立久宝寺小学校及び大分県宇佐市立高家(たけい)小学校に設置し、両校合同で実施した授業の様子をハイビジョン映像で「きずな」を経由して双方に伝送しました。さらに、伝送された映像を超鏡システムで合成し、両校の児童があたかも同じ場所にいるような環境で授業を行うことができました。
本実験により、遠隔教育に必要とされる大容量、リアルタイム双方向通信に「きずな」が有効であることを確認することができました。
また、地上において超鏡システムを組み合わせることにより、地上回線での映像(帯域:384kbps)を凌ぐ高精細なハイビジョン映像(帯域:8Mbps)で臨場感ある視覚的効果が確認できました。実験イメージは別紙1のとおりです。
※超鏡システム(ハイパーミラー)
電子的に作られた、対話のための新しい(鏡のような)世界のことで、通常の対話と異なり、自分の姿を含めた対話者全員が、同じ場所にいるような合成映像を使って対話できるシステムのことです。
- 1. 実験日時:
- 平成21年 1月21日(水)〜1月23日(金)
- 2. 場所:
- 大阪府 八尾市立久宝寺小学校
大分県 宇佐市立高家小学校 - 3. 実験結果
- (1)遠隔教育における「きずな」の有効性の検証結果
高速・大容量の地上回線網が整備されていない地域においても、任意の場所から可搬型地球局を用いて、ハイビジョン映像伝送などの大容量、リアルタイム双方向通信の有効性を検証することができました。
(2)超鏡システムによる教育効果の検証結果
「きずな」を使用したハイビジョン超鏡システムが、研究・教育用としての要件をどの程度満たすかについて評価を行ったところ、従来の地上アナログ放送レベルの映像(SD映像)では映すことが出来なかった細かい星座マップなども、ハイビジョン映像(HV映像)では詳細な部分の放映も可能になることから、利用教材の幅が拡がりました。また、HV映像であることから従来のSD映像と比較し、格段の画質向上を得たので、臨場感が増し、より自然なコミュニケーションで交流することが可能となりました。
イベントに参加した先生方からは、「単なるTV会議と違い、初めての技術や遠隔地の子供とTV画 面上内でのふれあいに関心を持ってくれたので生徒たちも意欲的に取り組み、期待していた以上の成果を得た。」と評価を頂き、生徒達からは、「ビデオレターと違い、画面の中で一緒に会話が出来て楽しかった」と、感動したり驚いていました。 - 4. 授業内容
- 1月21日(水)『学校と地域の交流学習』
9:15 - 9:40 両校、実践関係者挨拶
9:40 - 11:25 両校児童による学校、地域の紹介
1月22日(木)『宇宙についての合同学習』
9:40 - 11:15 「宇宙ステーションとそこでの生活」「宇宙ロケット」「宇宙科学」についてのJAXA職員による合同授業
1月23日(金)『地域の文化的活動の交流学習』
9:40 - 11:40 「ふとん太鼓(八尾市)」「子ども神楽(宇佐市)」の紹介と実演