プレスリリース

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CAMUI(カムイ)ハイブリッドロケットを利用したエジェクタ飛行実験について

平成21年2月18日

北海道大学
宇宙航空研究開発機構

 将来の宇宙輸送機用エンジンの性能向上を目的としたロケット複合エンジンの研究の一環として、北海道大学と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、エジェクタロケットの共同研究を進めています。
 この度、この共同研究の一環として、平成21年3月16日に北海道広尾郡大樹町において、NPO法人北海道宇宙科学技術創成センター(HASTIC)に委託し、エジェクタロケット小型研究用モデルの亜音速飛行実験を実施いたします。
 実験の目的は、エジェクタロケット性能に最も影響の大きい、ロケット噴流による空気吸込み効果(エジェクタ効果)データの取得です。これまで地上試験設備(JAXA角田宇宙センター ラムジェットエンジン試験設備等)を用いて静止状態や超音速状態でのデータ取得を進めてまいりましたが、地上では取得困難な亜音速でのデータを、CAMUIロケットを利用することで効率的・効果的に取得します。

CAMUIロケット発射機関
NPO法人 北海道宇宙科学技術創成センター(HASTIC)
実験場所
北海道広尾郡大樹町
実施予定日時
平成21年3月16日(月) 午前7時〜8時55分(日本標準時)
※予備期間は3月19日(木)迄


ロケット複合エンジン

(補足説明1) ロケット複合エンジン
ひとつのエンジンで3つの運転状態を使い、離陸から極超音速まで速度を上げるためのエンジン。ロケットエンジンの一種であるが、ジェットエンジンとして空気も利用することで高効率化を図る。エジェクタロケットは離陸から超音速までの作動状態。その後の速度増加にあわせてラムジェット、スクラムジェットと作動状態を切替える。


エジェクタロケット

(補足説明2) エジェクタロケット
ロケット噴流によって空気を吸込み(エジェクタ効果)、更に燃料を燃焼させることでこれまでのロケットエンジン以上の性能を発揮させるエンジン。ロケット複合エンジンは、離陸から超音速までの速度環境で、このエジェクタロケットとして作動する。エンジン性能の上昇度合いは吸込み空気量に依存するので空気吸込み性能が重要だが、エジェクタロケットの設計手法は未だ確立されていない。今回の実験は、地上では取得困難なマッハ0.4付近の、ロケットの高温ガスによるエジェクタ効果を明らかにする点で前例が無く、エジェクタロケット設計手法の確立に非常に重要である。