プレスリリース

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「きぼう」日本実験棟での結晶成長実験(FACET実験)の開始について

平成21年4月9日

宇宙航空研究開発機構

「きぼう」日本実験棟において、結晶成長実験「ファセット的セル状結晶成長機構の研究(FACET)」を下記のとおり開始しましたので、お知らせします。



  1. 実験テーマ
    「ファセット的セル状結晶成長機構の研究(FACET)」
    代表研究者:JAXA 宇宙科学研究本部 准教授  稲富 裕光 (いなとみ ゆうこう)
    概要:
    FACET実験は、半導体や酸化物など最先端材料に使われるファセット結晶(平らな面を持つ結晶)の界面の成長過程や形態を詳細に観察することにより、結晶成長メカニズムを解明することを目的としています。
    実験では、モデル物質を用い、試料が凝固・結晶成長していく過程での、結晶の形態や結晶周辺の温度・濃度の変化を、リアルタイムで観察・計測します。本実験で得られた結果は、半導体やその他の最先端材料の量産化や特性向上への知見をもたらします。そして、将来的にはクリーンエネルギーの普及やリニアモーターカーなどへの応用、情報通信網の拡充への貢献が期待されます。

  2. これまでの実験準備
    2008年11月26日にプログレス補給船(ロシア)で実験試料を打ち上げ、2009年4月3日に若田宇宙飛行士によって、「きぼう」日本実験棟の溶液結晶化観察装置(SCOF)へ取り付けられました。
    その後、観察・計測機器の調整を行い、本日、地上からの遠隔操作により冷却を開始して実験をスタートしました。

  3. 実験開始時刻:2009年4月9日 13時 30分

  4. 今後のスケジュール:
    6月まで約3ヶ月間にわたり実験が行われる予定です。

きぼうの実験にかかわる最新情報は下記のJAXAウェブサイトに掲載しておりますのでご覧ください。
 http://kibo.jaxa.jp/experiment/(きぼうでの実験)
 http://kibo.jaxa.jp/experiment/theme/first/facet/(FACET実験)



参考


実験開始時にユーザ運用エリアでモニタする稲富准教授


顕微鏡で取得した画像((c)JAXA)

実験開始にあたって:
代表研究者 稲富 裕光 准教授のコメント

 地上実験では見たことのない美しいファセットや干渉縞が観察されました。
 これからもこのような画像が続々と得られるかと思うと、大変興奮しています。