プレスリリース

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早稲田大学と宇宙航空研究開発機構との連携協力協定の締結について
〜宇宙航空分野における幅広い分野での協力を実施〜

平成21年5月29日

早稲田大学
宇宙航空研究開発機構

 学校法人早稲田大学(東京都新宿区、総長/白井克彦、以下「早大」)と独立行政法人宇宙航空研究開発機構(東京都調布市、理事長/立川敬二、以下「JAXA」)は、両機関の特徴を活かして、我が国の学術研究、教育の発展及び宇宙航空科学技術の発展に資するため、連携協力協定を締結いたしました。

1.締結の経緯・背景

 早大とJAXAは、平成18年12月に理工学術院と総合技術研究本部及び航空プログラムグループとの間に研究協力協定を締結し、理工学術院を中心とした連携活動が行なわれていました。また、月周回衛星「かぐや」に早大の研究者を中心に開発したガンマ線分光計を搭載する等、さまざまな協力を行ってきました。
 国際宇宙ステーションの建設に代表されるように宇宙航空分野の研究開発が目覚しい発展を遂げている中、宇宙航空分野は専門分野での科学・技術における協力に加え、社会科学、人文科学などとの学際的な分野との協力を密にして、宇宙航空活動への社会からの幅広い期待に答えることが必要となり、そのためには早大及びJAXAが有する人文、社会科学、学際分野での協力が希求されるようになってきました。そこで、従来の部局間協定から、早大とJAXAとの組織間協定へと連携・協力できる範囲を拡大し、より活発な連携活動を推進していきたいと考え、締結に至りました。

2.主な連携協力の内容

(1)基礎から応用まで含めた共同研究

今後はさらに現在進めている共同研究を加速、展開していきます。早大が研究開発を行っているWASEDA-SAT2は、H-IIAロケットで打上げ予定の金星探査機PLANET-Cと相乗りする小型副衛星として選定され、現在打上げに向けた共同作業が進んでおります。また国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」に、早大が研究開発を行っている大型実験設備を設置するという共同検討を進めていきます。その他、月惑星探査に関する研究や宇宙機の構造に関する研究、航空分野に関する研究等、新たな共同研究をスタートさせる予定です。


(2)宇宙理工学以外の分野での連携

上記の他、早大とJAXA、早大の附属高校を交えた形での宇宙教育に関する協力を行う他、早大の一般教育活動での協力等、これまでになかった幅の広い連携について、新たな枠組みを検討します。


3.連携協力の運営形態

 早稲田大学及びJAXAは、連携協力を円滑にかつ効果的に推進するため、両機関の代表者で構成する「連絡協議会」を設置し、年1回以上開催いたします。さらに、必要に応じて連携協力のテーマ毎に「分科会」を設置し、連携協力事業の具体的案件の検討を行います。



(別紙)

早稲田大学と宇宙航空研究開発機構との連携協力協定の締結について
(参考資料)



1.これまでの主な協力

  • 平成11年8月、早大理工学部と旧宇宙開発事業団(NASDA)技術研究本部との間において、教育協力に関する協定を締結、NASDA職員が早大にて講義を実施する等の協力を行いました。
  • 平成18年12月、早大理工学術院とJAXA総合技術研究本部及び航空プログラムグループとの間で研究協力に関する包括的な協力協定を締結、主に宇宙航空に関する基盤技術分野での協力を進め、現在も多くの共同研究や人材交流を実施、このたびの連携協力協定を締結する基盤となりました。
  • 平成19年9月14日に種子島宇宙センターよりH-IIAロケット13号機にて打ち上げられた月周回衛星「かぐや」に、早大理工学術院・長谷部信行教授を研究代表者とするガンマ線分光計(GRS)が搭載され、観測を実施し、月の起源や進化の解明、月の資源利用等の重要な資料を提供しました。

  • その他にも、いまや宇宙航空にとっては必要不可欠となった複合材料に関する性質や構造について研究や、航空機の騒音を制御する技術の研究、宇宙環境における発電に関する研究等を行ってまいりました。



2.今後検討を進める連携協力

  • WASEDA-SAT2はPLANET-Cとともに打ち上げられ、地球周回軌道に投入され、QRコードおよび船外映像の撮影に関するミッションを行う予定となっています。

  • 国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」船外実験プラットフォームを利用した高エネルギー電子、ガンマ線観測装置(CALET: CALorimetric Electron Telescope)に関する共同検討を実施しております。

  • そのほか、以下のような協力を検討しています。

    • 月惑星探査に関する研究
      ・ 月面探査ロボット・ローバーに関する研究
      ・ 月面着陸・滞在に関する研究

    • 宇宙機の構造に関する研究
      ・ 小型衛星を含めた人工衛星用インフレータブル構造物に関する研究

    • 航空分野に関する研究
      ・ 無人機を活用した災害監視・環境観測に関する研究
      ・ 極超音速コアエンジン制御技術の研究

  • 宇宙理工学以外の分野での連携
       
    • 宇宙教育の促進
      JAXAにおける宇宙教育活動と、早稲田大学附属高校(スーパーサイエンスハイスクール校指定)との連携による宇宙教育活動の展開や、宇宙教育センターにおける高校向け宇宙教育プログラム/教材開発の一端を大学附属高校教諭に担う等の協力の実施を目指します。

    • 早大オープン教育センターとの協力の検討
      所属学部や学年の垣根を越えて学ぶことができる、早大の「オープン教育センター」と連携し、学生に対して「宇宙」に関する理解を増進させるとともに、「宇宙」を多様な学術的切り口からとらえるプログラムの構築について、実施可能性を検討していきます。