プレスリリース

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技術試験衛星VIII型「きく8号」のイオンエンジン異常について

平成21年7月31日

宇宙航空研究開発機構

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、平成18年12月18日15時32分(日本時間)に種子島宇宙センターから打ち上げた技術試験衛星VIII型「きく8号」は、南北軌道制御を行うスラスタとして、イオンエンジンを搭載しています(北側・南側にA系統・B系統の各2基ずつ)。平成20年1月15日に発生したイオンエンジンの異常(平成20年1月28日プレス発表※1)により、A系統の電源部(電源A)とA系統のスラスタが使用できなくなり、B系統の電源部(電源B)とB系統のスラスタを使用して継続して運用してきましたが、平成21年7月7日にB系統の北側・南側スラスタが選択できない異常が発生し、スラスタ噴射ができなくなりました。

 これまでに軌道上確認作業やテレメトリデータの解析、部品の調査・検討作業等を実施した結果、今回のイオンエンジンB系異常は、電源Bに実装されているIC部品の故障であることが判明しました。今後はバックアップの化学燃料スラスタ(※2)により南北軌道制御を行うことで、予定された3年間のミッション運用に支障はありません。また、同衛星による実験は正常に実施しており、問題はありません。
 参考にイオンエンジンの接続図を示します。


図 イオンエンジンの接続


※1 平成20年1月28日プレスリリース
http://www.jaxa.jp/press/2008/01/20080128_kiku8_j.html
※2 化学燃料スラスタ:燃料にMMH(モノメチルヒドラジン)、酸化剤にMON-3(一酸化窒素を3%添加した四酸化二窒素)を使用する2液式スラスタ