プレスリリース

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SEDA-APの初期機能確認の完了と定常運用への移行について

平成21年9月18日

宇宙航空研究開発機構

 「きぼう」日本実験棟 船外実験プラットフォームに搭載している宇宙環境計測ミッション装置(SEDA-AP:Space Environment Data Acquisition equipment - Attached Payload)の初期機能確認が問題なく完了し、定常運用に移行しましたので、お知らせします。
 SEDA-APは、STS−127(2J/A)で実験装置を打ち上げ、船外実験プラットフォームへの取付けを行った後、8月4日より地上からの遠隔操作により、バス機器(電気系/通信系)や各ミッション機器の機能確認を順番に行ってきました。
 取得データを解析した結果、バス機器および各ミッション機器が正常に機能していることを確認し、9月17日から8つのミッション機器による宇宙環境計測を本格的に開始しました。

1. ミッション概要
「宇宙環境計測ミッション装置」(SEDA-AP)
代表研究者:五家 建夫(ごか たてお) JAXA 研究開発本部 主幹研究員

ISSが周回する高度約400kmにおいて、以下のミッションを約3年にわたって同時運用し、観測を行います。なお、微粒子捕獲と材料曝露ミッションは、試料回収のため、8ヵ月程度の運用予定です。
  • 中性子モニタミッション
  • 重イオン計測ミッション
  • プラズマ計測ミッション
  • 高エネルギー軽粒子モニタミッション
  • 原子状酸素モニタミッション
  • 電子部品評価ミッション
  • 微小粒子(スペースデブリ)捕獲ミッション
  • 材料曝露ミッション

取得したデータは、宇宙機や搭載機器の設計、材料の開発のための基礎データに利用され、宇宙機の異常による宇宙災害の防止や宇宙飛行士の被ばくの低減などに役立ちます。


初期機能確認中に得られた高エネルギー軽粒子計測データ

高エネルギー軽粒子モニタ(SDOM)が計測した電子(0.28-0.79MeV)を世界地図上にマップしたもの。南アメリカの領域(地磁気の関係で放射線が強い領域で南大西洋磁気異常帯(SAA:SouthAtlanticAnomaly)と呼ばれる)と上下の高緯度領域(放射線帯の外帯の領域)においてエネルギーの高い放射線が多く計測されている。


定常運用開始にあたって:
五家 建夫  JAXA 研究開発本部 主幹研究員

宇宙環境計測装置(SEDA-AP)は、軌道上での初期チェックアウトの完了を9月17日に機構内審査会で確認し、定常的な観測体制に入りました。開発に携わった研究者の代表として大変喜んでいます。しかし、これからが本番です。日本人宇宙飛行士の長期滞在する宇宙環境、すなわち中性子をはじめとする放射線環境、プラズマ環境ときぼうの静電電位、原子状酸素の環境、微小宇宙ゴミやダストの環境、それらの環境が宇宙用部品・材料に及ぼす影響を長期的に計測し続けます。この順調な第一歩を踏み出せたのは、「きぼう」に携わるJAXA、NASA、SEDAの共同研究者さらに企業も含めた多くの方々のご支援、ご協力の賜です。関係各位に深く感謝致しますと共に、今後は各国から期待されている宇宙科学・宇宙技術の成果を出す責任を負って頑張って行く所存です。


きぼうの実験にかかわる最新情報は下記のJAXAウェブサイトに掲載しておりますのでご覧ください。 
http://kibo.jaxa.jp/experiment/ef/seda_ap/ (SEDA-APのページ)
http://kibo.jaxa.jp/experiment/ (きぼうの実験ページ)