プレスリリース

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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)とNASAデータ中継衛星間の
データ伝送の運用開始について

平成22年4月13日

宇宙航空研究開発機構
米国航空宇宙局

 宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)及び米国航空宇宙局(以下、NASA)は、昨年6月に締結したJAXAの陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)とNASAのデータ中継衛星システム(TDRSS)との連携協力に関する協定を踏まえ、今般、北・南米地域の地震災害、森林減少及び水資源変動の観測頻度を飛躍的に向上するため、両衛星間のデータ伝送の運用を開始することとなりましたのでお知らせいたします。
この運用開始により、「だいち」が北・南米上空で観測した観測データはTDRSSを経由してNASA地上局に送られ、インターネット経由でJAXAの地球観測センター(埼玉県鳩山町)に伝送されることになります。

 これまで、「だいち」からのデータの多くは、JAXAのデータ中継技術衛星「こだま」(DRTS)を経由して地球観測センターで受信していましたが、今後は、「こだま」に加えTDRSSを利用することにより、より高頻度の観測(データ量として約2割の増加、北・南米地域に限定すれば約2倍に増加)を実現させることができるようになります。なお、TDRSS経由で受信されたALOSデータのユーザへの配布も同日付で開始されました。

 また、新たな運用を開始するにあたり、当該運用が、「地球観測に関する政府間会合」(GEO)(*1)が目指す「複数システムからなる全球地球観測システム(GEOSS:Global Earth Observation System of Systems)」構築の一助となることを報告するため、GEO事務局長あてのレター署名式を4月12日に行いました。

 本協力は、これまでJAXAとNASAで培ってきた衛星分野におけるパートナーシップを引き継ぐものです。その一例として、現在運用中のNASAのAqua衛星及び熱帯降雨観測衛星「TRMM」にはJAXAの観測機器が搭載され活躍を続けている一方、過去においては、JAXAの環境観測技術衛星(ADEOS及びADEOS-II)にNASAの観測機器が搭載されていました。2013年打ち上げ予定のJAXA-NASA 全球降雨観測ミッション(GPM)においてはNASA、JAXA双方の観測機器が搭載されるNASA衛星が、JAXAのH-IIAロケットにて打ち上げられる予定です。

*1 「地球観測に関する政府間会合」(GEO) とは、2005年の第3回地球観測サミットにより設立された、複数の地球観測のシステムから成る包括的な地球観測のシステム(GEOSS)を構築するための政府間の組織です。



(C)JAXA

署名後の様子
(左)NASA フレイリック地球科学部長、(右)JAXA 本間理事