宇宙航空研究開発機構
宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)は、スウェーデン宇宙公社の協力の下、5月7日、5月16日(現地時間)の2回にわたり 、スウェーデンエスレンジ実験場(ESRANGE SPACE CENTER)において、低ソニックブーム設計概念実証プロジェクト第1フェーズ試験(D-SEND#1:Drop test for Simplified Evaluation of Non-symmetrically Distributed sonic boom)を実施し、世界で初めて低ブーム軸対称形状の効果を気球落下実験で確認いたしました。
ソニックブーム※1の低減技術は将来の超音速旅客機実現の最重要課題の1つと言われており、JAXAでは静粛超音速機技術の研究の一環として、ソニックブーム低減効果の検証と、試験により取得したデータによる、ソニックブームに関する国際的な環境基準策定への貢献を目的として、2つのフェーズからなる低ソニックブーム設計概念実証プロジェクト(D-SENDプロジェクト)を進めています。
本試験は、その第1フェーズとして、2種類の軸対称形状※2の供試体を気球から超音速で落下させることにより発生させた、通常のソニックブーム及び低減されたソニックブームを計測し、低ブーム軸対称形状によるソニックブ―ムを半減させる技術実証に成功しました。
今回の試験により取得した軸対称形状による計測データは、ソニックブーム推算法の検証用データとしての希少価値が高く、今後の低ソニックブーム研究への貢献が期待されます。また、今回の試験を通じて、気球落下試験による低ソニックブーム効果の実証方法も、初めて確立いたしました。
今回の試験実施にご協力頂きましたスウェーデン宇宙公社及び関係各方面に、深甚の謝意を表します。
※1 超音速飛行時の機体から発せられる衝撃波が結合して、落雷にも似た爆音を発生する現象
※2 円錐形や円筒形に代表される形状
※本実験のより詳細につきましては、以下のJAXA航空プログラムグループホームページをご覧ください。
http://www.apg.jaxa.jp/
実施場所: | スウェーデン宇宙公社(SSC) エスレンジ実験場(スウェーデン、キルナ市) |
役割: | (JAXA)ソニックブームの空中・地上計測 (SSC)実験用供試体の投下・空中計測用気球の運用 |
1回目試験 | 2回目試験 | |
放球時間 | 5月7日5:44(日本時間12:44) | 5月16日5:30(日本時間12:30) |
分離時間 | 5月7日7:02(日本時間14:02) | 5月16日7:36(日本時間14:36) |
分離高度 | 約21km | 約27km |
到達速度 | 約マッハ1.43 | 約マッハ1.7 |
分離地点 | 北緯68度19分, 東経21度29分 | 北緯68度4分, 東経21度1分 |
![]() 放球準備中の様子 (1回目試験) |
![]() 気球上昇中の様子 (1回目試験) |