プレスリリース

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星出彰彦宇宙飛行士による2回目の国際宇宙ステーションにおける
船外活動の実施と、これに伴う宇宙ステーション補給機
「こうのとり」3号機(HTV3)の係留延長について

平成24年9月3日

宇宙航空研究開発機構

米国航空宇宙局(NASA)及び宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、8月30日に行った船外活動に引き続き、星出彰彦宇宙飛行士とNASAサニータ・ウィリアムズ宇宙飛行士による2回目の船外活動(EVA)を下記のとおり実施することにいたしましたのでお知らせいたします。
また、この船外活動の実施に伴い、「こうのとり」3号機(HTV3)の係留期間が延長されることになりました。「こうのとり」3号機の新たな分離日及び小型衛星放出等の利用実験の実施日程については現在調整中となっており、日程が決定され次第、改めてお知らせいたします。
なお、9月2日未明(日本時間)、太陽電池パドル下流の直流切替器に異常が発生し、さらにISSの電力供給能力が低下していますが、当面のISS運用や「きぼう」システムへ直接影響はありません。



1. 実施予定日時:(日本時間) 平成24年9月5日(水) 20時15分頃から、約6時間半

  ※開始時刻、作業時間とも、クルーの準備や作業進行状況により、変わります。

2. 主な作業内容:
  (1)電力切替装置(MBSU)(※1)の取付作業

  (予定した船外活動が時間よりも早く終了した場合)
  (2)ISSのロボットアーム・ステーション共通カメラ/照明装置(CLPA)(※2)の交換
  (3)与圧結合アダプタ2(PMA2)(※3)へのカバー取付
  (4)移動型基部システム(MBS)(※4)マストカメラの取り外し
  (5)ザーリャ(基本機能モジュール)電力・通信インタフェース付グラプル・フィクスチャ(PDGF)(※5)のトラブルシュート

(※1) 電力切替装置(Main Bus Switching Unit:MBSU):ISSシステムへの電源の分配を行っている装置。
合計で4基あるうちの1基が故障で一部機能を失っていたため、スペアと交換を計画。
(※2) ISSロボットアーム・ステーション共通カメラ/照明装置(Camera Light Pan/Tilt Assembly : CLPA ):
ISSロボットアームのブーム(腕)に設置されている把持対象物を確認するためのカメラ・照明装置であり、
2台あるうちの1台のフォーカス機能が故障したため、スペアと交換を計画。
(※3) 与圧結合アダプタ2(Pressurized Mating Adapter: PMA2):ISS 進行方向先頭にある、スペースシャトルが
ドッキングに用いていた装置。露出しているため、カバーを取り付ける。
(※4) 移動型基部システム(Mobile Base System: MBS): ISS のトラス上を移動して機材を輸送する
ロボットアームシステムの一部。故障している同カメラを取り外し、地上で修理予定。
(※5) 電力・通信インタフェース付グラプル・フィクスチャ(Power and Data Grapple Fixture: PDGF):
ISSロボットアームの移動場所として使用される装置。PDGFの接地線が可動部に噛み込んでいる可能性が
あるため、接地線の噛み込みが発生しないよう処置する。



<補足情報>
(電力切替装置(MBSU)交換時のボルト締結不良の原因について)
 1回目の船外活動の際に、MBSUの保管場所への取付、スペア品の取付の際に取付ボルトが規定の締め付け回転数まで回らなかった原因については、ネジ山に何らかの異常が起きていることが推定されています。
 2回目の船外活動では、ネジ山の点検及び清掃などを行った後にMBSUの取付作業を行う予定です。

(太陽電池パドル下流の直流切替器の異常)
 これまでの電力切替装置(MBSU)1台の停止とは別に、9月2日未明(日本時間)、太陽電池パドル下流の直流切替器に異常が発生しました。これに伴い、MBSU1台の停止による1/4の電力供給能力低下に加え、さらに、ISS全体で8系統ある太陽電池パドルのうちの1系統が使用できなくなったため、ISSの電力供給能力が5/8に低下しています。今回停止した系統下流への電力供給は、内部スイッチ切替等により継続されており、当面のISS運用や「きぼう」システムへ直接影響はありません。