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JAXA有人活動20周年記念に寄せて

平成24年9月12日

宇宙航空研究開発機構

 2012年9月12日は、毛利衛宇宙飛行士がスペースシャトルに搭乗し、宇宙での活動を開始した1992年9月12日の「ふわっと'92」宇宙実験から、20周年となります。
 この間に、日本は、数々の宇宙実験計画を推進しつつ、国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟の開発・組立を行いました。また、日本の物資輸送の宇宙船「こうのとり」の打上げ・運用の連続成功を実現するなど、目覚ましい有人宇宙活動の進展がありました。現在は、「きぼう」日本実験棟のオペレーションを継続し、本格的な利用を進めています。
 この節目を迎えるにあたり、JAXA理事長、毛利宇宙飛行士及びJAXA宇宙飛行士から談話が寄せられていますので、以下に紹介いたします。

 本日9月12日で、JAXA(当時は宇宙開発事業団(NASDA))の毛利衛宇宙飛行士が「ふわっと'92」(第一次材料実験)のため米国・スペースシャトルで初飛行してからちょうど20年が経ちました。
 この間、JAXAは、日本人宇宙飛行士によるスペースシャトル上での数々の実験、「きぼう」日本実験棟の組立・完成、宇宙ステーション補給機「こうのとり」による物資輸送、日本人宇宙飛行士による国際宇宙ステーションでの活動を国際協力のもと着実に遂行してまいりました。
 これらにより、日本は多くの有人宇宙技術を習得することができました。有人宇宙技術の分野で当初は「学ぶ」だけであった日本が、現在では、国際的にも大きな貢献を果たし、国際パートナーからも信頼される存在となりました。有人宇宙技術は先端技術と安全性・信頼性技術の結集であり、科学技術立国としての我が国に必要不可欠なものです。
 今後も、国際的な協働の中で我が国が重要な役割を果たすことができるよう、有人宇宙開発を継続的に推進していきたいと思います。

理事長 立川 敬二

 日本の有人宇宙活動計画の立ち上げに参加できて光栄でした。日本は層の厚い科学者、技術者を抱えているおかげで、全く未経験の分野においても20年経た今、宇宙での科学技術実験や観測で、世界のリーダー的役割を果たすまでになりました。この経験を地道に推進することによって宇宙研究開発分野から日本が人類的規模での課題解決へ向けて大きな貢献を期待できます。世界からさらなる信頼と尊敬を受けるように、国を挙げて邁進する多くの科学者、技術者の一人として私も気持ちを新たに努力してゆきたいと思います。

宇宙飛行士 毛利 衛

 第一次材料実験計画(FMPT/ふわっと'92)は日本の本格的な宇宙環境利用の第一歩です。この計画を通じて我々は有人宇宙飛行技術、宇宙環境利用技術、そして、国際協力のもとに行われるビッグプロジェクトの遂行方法等、数多くを学ぶことができました。この経験をもとに、この20年間に多くの宇宙環境利用飛行を遂行して成果を蓄積するとともに、国際社会で働く人材の育成をしてきました。そして、現在は国際宇宙ステーション(ISS)の国際パートナーとして宇宙技術や人材等で国際社会に貢献できるまでになりました。日本人の宇宙滞在時間もいまやロシア、アメリカに次いで世界で3番目に長い国となりました。この20年の技術や情報の蓄積は、今後の日本が有人宇宙分野における「自律性と自在性」を獲得していくことに大きく寄与していくものと思います。今後とも皆で力を合わせ、"人類にとっての宇宙開発"を推進していきましょう!

宇宙飛行士 向井 千秋

 20年前のスペースシャトルによる宇宙実験ミッション「ふわっと'92」で毛利さん、向井さん、土井さんが活躍なさった年に私は宇宙飛行士候補者としての一歩を踏み出しました。「きぼう」日本実験棟や宇宙ステーション補給機「こうのとり」の開発と運用を含め、多くの方々の御尽力で日本の有人宇宙活動が一歩一歩着実に発展してきている事を感じます。技術立国としての日本が有人宇宙開発の分野でも更に大きく世界に貢献していけるよう、宇宙のフロンティアを切り拓く取り組みを支える素晴らしいチームの皆さんと一緒に更に努力していきたいと思います。

宇宙飛行士 若田 光一

 毛利さんのスペースシャトル初飛行から20周年を迎え、大きな時代の流れを感じます。これまでの先輩方の功績を踏まえ、さらに飛躍できるよう、現役飛行士一同さらに精進していきたいと思います。

宇宙飛行士 野口 聡一

 2011年国際宇宙ステーションに5ヶ月半滞在し、様々な科学実験を実施しました。無重力での良質なタンパク質結晶作成実験が新薬の開発につながる等、地上での我々の生活がより豊かになっていきます。
 不具合で予定通りいかないこともときにありましたが、地上チームと力を合わせて問題を解決することができました。彼ら地上チームは世界に通用する人材であり、それが日本にも多く育っていることは将来に向けた財産です。日本の有人宇宙活動を更に発展させるべく、今後も彼らと力を合わせてゆきたいと考えています。

宇宙飛行士 古川 聡

 「ふわっと'92」から20年という、日本の有人宇宙活動の節目の日に、日本人を代表して国際宇宙ステーションに滞在していることを光栄に思います。この20年で、「きぼう」日本実験棟の開発・運用・利用、「こうのとり」の打ち上げ・運用・再突入など、日本の有人宇宙活動は大きく進歩し、国際的にも立場が変わりました。この先の20年も、多くの人が宇宙に行ける時代になるよう、宇宙飛行士として微力ながら貢献して行きたいと思います。

宇宙飛行士 星出 彰彦

 毛利飛行士が初フライトをしてから20年が経過しました。初めてのフライトをTVなどで見た時の興奮と感動を今でも思い出します。20年の間、先輩たちが築き上げてきた素晴らしい伝統を引き継ぐと共に、更に新しい時代を築く為に全力を尽くしていきたいと思います。

宇宙飛行士 油井 亀美也

 1992年当時、私は高校生でした。それから20年、日本の有人宇宙開発は着実に進歩を重ねてきました。諸先輩方の知見・経験を受け継ぎ、これから先の新たな一歩を踏み出すために、私も頑張りたいと思います。

宇宙飛行士 大西 卓哉

 毛利飛行士のスペースシャトル搭乗に始まった日本の有人宇宙活動は、国際宇宙ステーションの時代となりました。私たちが、次の20年を切り開いていくのだという気概を持って、日本の宇宙技術のさらなる発展のために、訓練・業務など、さまざまな活動に、積極的に取り組んで行きたいと思います。

宇宙飛行士 金井 宣茂