宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)は、7月3日から第一期水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W1)による地球の観測を継続してきました。
マイクロ波放射計が観測した北極海の海氷データを解析した結果、今年の海氷面積は、8月24日に421万平方キロメートルに縮小し、それまでの観測史上最小記録を更新しました。海氷面積はその後も減少を続け、9月16日に349万平方キロメートルを記録しました。北極域は、すでに気温低下が始まっており、結氷に伴い海氷面積も増加へと転じていることから、9月16日の面積値がこのまま今年の最小値(観測史上最小記録)になるとみられます。
北極海の海氷分布

1980年代の9月最小時期の平均的分布
(米国衛星搭載マイクロ波センサの解析結果) |

2012年9月16日
「しずく」/AMSR2(アムサー・ツー)[検証中]
(観測史上最小分布) |
※下記URLをクリックいただくと、高解像度画像がご覧いただけます。
http://www.satnavi.jaxa.jp/project/gcom_w1/news/2012/120920.html
今年の北極海氷は、観測史上初めて400万km2を下回り、これまでで最小だった2007年9月の425万km2から日本列島2つ分も小さくなりました。これは、1980年代の平均的な面積と比べると、半分以下の小ささにまで縮小したことを意味しています。
北極海の海氷縮小の背景には、1980年代以降増加傾向にある北半球の気温上昇に伴い、海氷厚が徐々に薄くなり、大気場(気温や風)や海水温の影響を受けやすい状態に海氷が変化してきていることがあるとみられます。特に今年は、春の段階で北極海のほぼ半分の海域が薄い一年氷(前年の夏以降に生成した氷)で広く覆われていたこと、また、夏期には大型の低気圧が北極海上空に発生し海氷域を襲っている様子が、衛星画像でも捉えられており、海氷の融解縮小を促進する効果があったものと推定されます。
JAXAでは、今後も「しずく」による北極海氷の監視を続けていき、ウェブサイト等で最新の情報を公開いたします。
北極海氷のこれまでの衛星画像の解析結果と解説につきましては、以下のWEBサイトに掲載しております。
◆掲載場所
http://www.eorc.jaxa.jp/imgdata/topics/2012/tp120825.html
*HPに掲載されている画像は、自由にダウンロード可能です。
画像ご使用の際は、HPに掲載のとおりクレジット付与をお願いいたします。
特に記載のないものは「JAXA提供」、「(C)JAXA」などのクレジット付与をお願いいたします。
参考URL:
◆北極海海氷モニターについて
北極海の海氷密接度の分布画像および海氷面積値情報は、JAXAが米国アラスカ州立大学北極圏研究センター(IARC)に設置しているIARC-JAXA情報システム(IJIS)を利用した北極海海氷モニターwebページ上で日々更新を行い、公開しております。
http://www.ijis.iarc.uaf.edu/cgi-bin/seaice-monitor.cgi?lang=j
◆第一期水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W1)
http://www.satnavi.jaxa.jp/project/gcom_w1/index.html