プレスリリース

プリント

「航空教育支援フォーラム」の発足について

平成24年11月8日

宇宙航空研究開発機構

 平成24年11月7日に朱鷺メッセ新潟コンベンションセンターで開催された日本航空宇宙学会主催 「第50回飛行機シンポジウム」において、次世代を担う航空人材の育成を目的とする「航空教育支援フォーラム」を立ち上げ、宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)は、JAXAの研究成果の1つである「高速流体解析ソフト(以下、CFDソフト(注))」を、本フォーラムの趣旨に賛同する大学及び大学院での航空教育に役立てていくこととなりました。

 JAXAは、平成24年7月に開催された日本航空宇宙学会主催の「第44回流体力学講演会/航空宇宙数値シミュレーション技術シンポジウム2012」での「CFDと教育」セッションにおいて、航空関連の人材育成について広く検討し促進する場の創設を提案し、その後日本航空宇宙学会との間で議論を重ね、今回の「第50回飛行機シンポジウム」において「航空教育支援フォーラム」を立ち上げることになったものです。
 まずはJAXAの研究成果の1つであるCFDソフトを、講義で容易に利用できるようにパッケージ化して提供し、平成25年度以降の大学及び大学院での航空機設計教育や数値流体力学教育等に役立てるべく取り組んでいきます。

 JAXAは日本航空宇宙学会と今後も連携協力しつつ、同学会主催の講演会等において「航空教育支援フォーラム」に関連するセッションを設けて、CFDソフト以外でも教育に役立つ取り組みについて検討を続けて参ります。また大学関係者だけにとどまらず、産業界からの意見も積極的に取り入れて、より良い教育支援ツールの活用や人材育成に関する議論を重ねていき、次世代を担う航空人材の育成に努めて参ります。

注)CFD:数値流体力学(Computational Fluid Dynamics)



参考

「高速流体解析ソフト(CFDソフト)」について


 JAXAでは、航空機と宇宙機の定常空力解析はもとより、これらに共通的に発生する非定常流や振動問題を解決するため、数値シミュレーション技術を活用した数値流体力学(CFD:Computational Fluid Dynamics)の研究を進めています。
 これらの研究は、数値シミュレーション技術および関連技術の高度化と実用化を進め、航空宇宙技術の発展・信頼性向上に寄与するとともに、プロジェクト等の要請に応えることで、数値解析技術の実利用普及促進および機構事業への貢献を目的とするものです。
 このような数値シミュレーションは、大規模なものはスーパーコンピューターを用いて行いますが、今回教育支援ツールとして提供する「高速流体解析ソフト」は、一般的なWindows パソコンでも動作する規模のものです。これによって、スーパーコンピューターの利用が難しい大学でも小規模な数値シミュレーションが可能となり、更に標準的なシミュレーションフローを予め組み込んだパッケージ化ソフトウェアとして提供することによって、より多くの大学及び大学院での航空機設計教育や数値流体力学教育等への利用が可能となります。

≪数値シミュレーション イメージ(JAXAスーパーコンピューターで解析したもの)≫


注)色は物体表面の圧力分布を示す。(赤:圧力高、青:圧力低)