プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

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「宇宙開発事業団の経営改革についてのアクションプラン」(改訂版)について

平成12年8月2日

宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

1. 報告事項

 平成12年5月の宇宙開発委員会特別会合の報告書等を受けて改訂した「宇宙開発事業団の経営改革についてのアクションプラン」(以下「アクションプラン」という。)について報告する。

2. 経緯

 平成11年5月の宇宙開発委員会宇宙開発基本問題懇談会の提言等を受け、経営改革を着実に実行するために平成11年6月にアクションプランを制定した。

3. アクションプランの改訂版

(1)改訂に当たっての基本的な考え方

  1. 平成11年6月に制定したアクションプランをベースとして、H-II8号機の打上げ失敗以来、事業団内で検討してきた事項、及び宇宙開発委員会特別会合で指摘された「改革方策」の趣旨を取り入れる。
  2. 具体的な改革事項については、これまでの進捗状況を盛り込む。

(2)主な見直し

  1. 基本理念
    • H-IIAロケットの確実な開発・打上げを改革の当面の最重要課題であると位置づけた。
    • 「技術基盤の強化」を"より確実なプロジェクトの遂行"の項目に移す。
    • 「国際貢献」は全体に共通した考え方であり、理念の項目から削除する。

    基本理念の新旧比較

    既制定改訂
    より確実なプロジェクトの遂行
    先端的な技術・ミッションの開拓と技術基盤の強化
    成果の還元と国際貢献
    より確実なプロジェクトの遂行と技術基盤の強化
    先端的な技術・ミッションの開拓
    成果の還元
  2. H-IIAロケットの確実な開発・打上げに向けた「当面の改革の重点施策」の章を設けた。

(3)アクションプラン改訂版

 アクションプランの骨子を下記に示す。また、本文は参考資料のとおりである。
 (参考資料は7月26日の宇宙開発事業団改革推進委員会での資料と同じものです。)

4. 宇宙開発事業団改革推進委員会への説明

 平成12年7月26日(水)(於 事業団本社)に開催された第1回宇宙開発事業団改革推進委員会(委員長 久保田弘敏東京大学教授)に改訂された本アクションプランを説明した。



宇宙開発事業団の経営改革についてのアクションプラン(改訂版)の骨子

1. 基本理念

(1) より確実なプロジェクトの遂行と技術基盤の強化

 開発段階にあるプロジェクトについては、H-IIAロケット試験機の確実な開発・打上げを当面の最重要課題として位置づけ、事業を重点化する。また、我が国の宇宙開発の中核機関として、これらのプロジェクトを下支えする技術基盤の強化に取り組む。

(2) 先端的な技術・ミッションの開拓

 NASDAを取り巻く環境は非常に厳しいが、フロントランナーにふさわしく、外部の研究者及び技術者などと広く連携し、次世代に期待される高度で先端的な技術、ミッションの開拓に挑戦し、国民の期待に応えられる宇宙開発利用の実現を目指す。

(3)成果の還元

 開発で得られた技術成果については産業界などへの移転を促進するとともに、宇宙で得られたデータ等についてはその利用促進を図る。また、広く国民の理解と協力を得るために宇宙開発の状況、成果に触れ易くするよう積極的な普及啓発活動を展開する。

2. 総論

2.1 より確実なプロジェクトの遂行と技術基盤の強化のための方策
(1)事業の重点化と確実化
  • H-IIAロケット試験機の確実な開発・打上げが当面の最重要課題
  • 他のプロジェクトについては総合的な見地から検討し、より確実にその目標を達成できるようにする
(2)信頼性向上と品質保証の強化
  • 総合的なリスク管理を徹底、信頼性向上にかかる取り組みを強化
  • 品質保証側の開発推進側に対するカウンターバランス機能を強化
(3)プロジェクト実施体制、方法等の強化
  • プロジェクトマネージャー制の強化、マネージメント手法の改善
  • 事業分野に関連した組織体制が最も効果的に機能するように見直す
(4)NASDAと企業との役割分担の明確化
  • NASDA職員の業務を重点化しつつ、実証された技術等について企業がその能力を最大限発揮でき、主体性をもって実施できる方向に見直す
(5)技術基盤形成の強化
  • NASDAがもつべき技術分野を明確化
  • 技術分野別の専門グループを段階的に設置
2.2 先端的な技術・ミッションの開拓のための方策
(1)中長期的な視点に立った研究の推進
  • 中長期的な技術開発の方向性の明確化
  • その方向性に沿った研究の重点化、高度な技術への積極的な挑戦
(2)外部と連携した研究開発体制の構築
  • 創造性の高い研究の実施に適した研究開発体制の構築
  • 先端的な技術研究分野について、コミュニティの形成・発展を支援
(3)実証による技術の蓄積
  • 中小型衛星、JEMなどを活用した基礎的技術データ取得及び先端的な技術実証の実施、技術蓄積の強化
2.3 成果の還元のための方策
  • 産業界などへの技術移転の促進、成果利用の推進
  • 普及活動の強化
2.4 共通的施策
(1)高度情報化への取り組み
  • 情報技術を活用した宇宙開発の設計・製造技術とプロジェクト管理の向上
  • 革新的な情報技術の研究開発の推進
(2)人材の量的、質的な強化
  • 職員の専門能力の一層向上、効果的活用等のための人事制度の改革
  • 職員の増強、外部要員の一層の活用

3. 具体的な改革の現状

(省略)

4. 当面の改革の重点施策 〜H-IIAロケットの確実な開発・打上げに向けて〜

4.1 開発の強化策
(1) 開発体制の強化
  1. NASDAプロジェクト体制の強化
  2. H-IIAロケット開発企業との連携体制の強化
(2) 開発計画の充実
  1. 計画の変更
  2. 開発総点検の実施
  3. 改善事項の反映
(3) 信頼性向上策
  1. H-IIロケット8号機の事故原因究明からの反映
  2. 信頼性向上に係る試験の充実
(4) 高度情報化への取り組み
4.2 品質保証の強化
(1) 安全・信頼性管理部における品質保証機能
(2) 宇宙輸送システム本部内の品質保証機能の強化
4.3 独立技術評価体制の強化
(1) H-IIAプロジェクト評価チームによる独立評価の実施
(2) 技術研究本部による独立検証・評価等の実施