プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

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地球観測センターにおける写真廃液処理設備の
排水桝撤去作業中の変色土壌について

平成12年9月27日

宇宙開発事業団

 宇宙開発事業団地球観測センターでは、昭和54年から平成6年まで使用していた写真現像処理設備の処理廃液(シアン化合物を含む)に関して漏れが確認されたことを踏まえ、埼玉県西部環境事務所のご指導を受けつつ、平成10年4月から汚染土壌の撤去等の対策を講じるとともに、写真廃液処理設備を撤去しています。
 写真処理設備及び写真廃液処理設備を撤去した後の最終作業として、平成12年9月25日から排水桝の撤去作業を行っていたところ、7つある排水桝のひとつの桝の直下(地面から深度約1.2m)の土壌が変色しており、9月26日に、この土壌の簡易分析でシアン化合物を検出しました。(別図参照)

 地球観測センターでは、直ちに埼玉県西部環境管理事務所東松山支所及び鳩山町役場生活環境課に第1報を行うとともに、当該変色土壌の撤去を行いました。引き続き、27日に状況の報告を県及び町に行い、現在、周辺の土壌汚染等の調査(環境庁の「土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針運用基準」に基づくボーリング調査及び土壌・地下水の分析)を進めております。この、ボーリング調査及び土壌・地下水分析には約20日間を要すると見込まれ、調査結果が出次第お知らせします。

 なお、排水桝の撤去前の桝周辺のボーリングによる調査ではシアンの検出はありませんでした。工事期間中もシアンが拡散しないよう十分な配慮をしております。

 また、地球観測センターでは、写真処理施設跡地から外部への汚染の拡散を監視する環境監視モニター(地下水及び調整池の水質調査)を定期的に実施しており、これまでシアンは検出されておりません。

シアン土壌汚染経緯(昭和53年5月〜平成12年9月)

(1)昭和53年5月

 宇宙開発事業団は地球観測センターの運用開始に先立ち、埼玉県知事宛に写真現像装置を特定施設として届け出た。(運用は昭和54年1月開始)

(2)平成6年3月

 写真処理設備のうちカラーフィルム現像装置を更新した(フェリシアン化合物を使用しない設備への更新)。現像液廃液配管(シアン系廃液配管)内を洗浄後、室内側のバルブを閉じ当該配管の使用を停止した。

(3)平成8年12月

 設備点検中に、平成6年3月に使用停止した現像液廃液配管(シアン系廃液配管)の室外側バルブ継手部付近の土壌表面に変色を発見した。変色土壌の成分検査(溶出試験)の結果、シアンが検出(1リットル当たり2.57mg)された。

(4)平成9年12月

 現像液廃液配管(シアン系廃液配管)の屋外部分の撤去、残留廃液の廃棄、廃液の浸透したと思われる土壌の撤去を実施した。また、撤去後の土壌から溶出試験のためのサンプルを採集した。

(5)平成10年3月

 サンプルの溶出試験の結果、シアンが検出(1リットル当たり最高0.08mg)されたため、本件について埼玉県西部環境管理事務所東松山支所に連絡し、鳩山町環境衛生課に報告を行った。埼玉県西部環境管理事務所東松山支所による水質汚濁防止法に基づく立ち入り検査が行われた。引き続き、目視による漏洩調査を行い、新たに土壌に変色部分が発見され、埼玉県西部環境管理事務所東松山支所と協議を行い、床下漏洩箇所の特定と汚染範囲の調査を実施した。その結果、床下の10地点60層から計60サンプルを採取した結果、1サンプルからシアンが検出(1リットル当たり0.3mg)された。また、地球観測センター周辺付近(大沼、石田川)には汚染されていないことを確認した。
 写真処理設備及び写真廃液処理設備の運用を停止した。

(6)平成10年6月

 写真廃液処理設備ドラム缶及び周辺土壌等を撤去、第2運用棟床下汚染土壌等を撤去した。

(7)平成10年8月から12月

 第2運用棟北側周辺の汚染土壌を撤去した。

(8)平成11年10月から12月

 写真廃液処理設備の撤去調査を実施した。

(9)平成11年11月

 写真処理設備(特定施設)の使用廃止届出を埼玉県に提出した。

(10)平成12年1月から3月

 第2運用棟(写真処理室)床下の汚染土壌等及び写真廃液処理設備を撤去した。

(11)平成12年8月から9月

 蒸発散槽及び排水枡内の汚染土壌等の撤去作業を実施中。