プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

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第5回「宇宙環境利用に関する地上研究」の公募について

平成12年12月27日

宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

1. 経緯

 宇宙環境利用に関する地上研究の公募は、国際宇宙ステーションの日本の実験棟(JEM)を中心とした宇宙環境利用の準備段階の地上研究を推進することを目的として、平成9年度より実施している。(別紙1に分野別の選定件数を示す。)これまでに第1回(9年度)選定分の研究期間を完了し、12年度末までに第2回分が終了する。
 これに続く第5回の公募の方針については、公募制度運営の委託先である(財)日本宇宙フォーラムに設置している研究推進委員会(委員長:井口洋夫宇宙環境利用研究システム長)において検討、調整が行われた。

2. 第5回公募の方針

 以下、第4回公募との変更点等の骨子を示す。なお、別紙2に研究区分及び研究分野を示す。

(1) スケジュール

応募〆切 平成13年2月28日(水)消印有効
評価パネルの編成、レビュア確定 同 2月末まで
レビュアによる評価 同 3月〜5月
パネルによる審査 同 5月〜6月
推進委員会による総合審査 同 7月中旬

(2) 微小重力物理学分野の新設について

 現在、宇宙開発事業団では、宇宙環境利用の体系的な推進と成果の早期創出を目的として、各研究分野について「研究シナリオ」を作成し、宇宙環境利用が有効かつ科学技術的成果が期待できる研究領域を絞り込む作業を進めている。
 微小重力環境の利用が有効な基礎物理学の分野においても、利用研究の推進を図るための研究シナリオ(案)の検討を進めており、これをふまえて、微小重力環境利用への当該分野の研究者への周知、研究層の拡大を図るため、以下の領域を当面の研究領域とする「微小重力物理学分野」を新設し、従来の微小重力科学分野から分化することとした。

  • 巨視的量子現象
  • 臨界点近傍のダイナミクス
  • 複雑性のもたらす非平衡現象

3. その他

(1) 平成13年度予算について

 第5回公募は、平成13年度の予算の成立を前提としており、予算の状況によっては今後変更もあり得る。

(2) 公募地上研究成果の評価について

(I) 最終評価
 平成12年度末までに研究を終了するテーマについて、平成13年7月までに最終評価を行う。第5回地上公募に募集しているテーマの内、最終評価の対象となっているものについては、当該最終評価の結果をテーマ選定審議に加味する。
(II) 中間評価
 第3回公募(平成11年度)したテーマの中間評価を平成12年12月末までに行い、期間後半の研究計画に反映させ、よりよい成果を目指す。



分野別選定件数


1. 第1回公募の概要

募集期間: 平成9年5月21日〜7月10日
応募件数: 454
審査期間: 平成9年7月〜9月
選定件数: 132
研究期間: 平成9年10月〜平成12年3月(最長)

第1回(平成9年度)地上研究公募 分野別選定結果

分野選定件数(応募数)
フェーズIIフェーズI総数
微小重力 2(15) 39(124) 41(139)
ライフサイエンス 1(10) 36(115) 37(125)
宇宙医学 0(3) 27(88) 27(91)
宇宙科学 0(3) 3(10) 3(13)
地球科学 1(4) 2(3) 3(7)
宇宙利用技術開発 1(8) 20(71) 21(79)
 合 計 5(43) 127(411) 132(454)

2. 第2回公募の概要

募集期間: 平成9年12月10日〜平成10年1月30日
応募件数: 306
審査期間: 平成10年2月〜6月
選定件数: 76
研究期間: 平成10年7月〜平成13年3月(最長)

第2回(平成10年度)地上研究公募 分野別選定結果

分野選定件数(応募数)
フェーズIIフェーズIAフェーズIB総数
微小重力科学 0(1) 2(11) 19(65) 21(77)
生物科学 0(1) 2(10) 9(36) 11(47)
バイオメディカル 0(1) 1(4) 18(68) 19(73)
宇宙医学 0(1) 1(7) 9(30) 10(38)
宇宙科学 0(1) 1(1) 3(11) 4(13)
地球科学 0(2) 0(0) 0(2) 0(4)
宇宙利用技術開発 0(1) 2(13) 9(40) 11(54)
 合 計 0(8) 9(46) 67(252) 76(306)

3. 第3回公募の概要

募集期間: 平成10年12月2日〜平成11年1月29日
応募件数: 322
審査期間: 平成11年2月〜6月
選定件数: 89
研究期間: 平成11年7月〜平成14年3月(最長)

第3回(平成11年度)地上研究公募 分野別選定結果

分野選定件数(応募数)
フェーズIIフェーズIAフェーズIBフェーズIB
(萌芽的研究)
総数
微小重力科学 0(2) 2(10) 14(57) 4(10) 20(79)
生物科学 0(1) 1(3) 5(20) 3(8) 9(32)
バイオメディカル 0(1) 1(7) 12(48) 5(12) 18(68)
宇宙医学 0(1) 1(3) 11(46) 9(22) 21(72)
宇宙科学 0(1) 1(1) 1(3) 0(0) 2(5)
地球科学 0(0) 1(2) 1(4) 1(0) 3(6)
宇宙利用技術開発 0(0) 0(7) 9(37) 7(16) 16(60)
 合 計 0(6) 7(33) 53(215) 29(68) 89(322)

4. 第4回公募の概要

募集期間: 平成12年1月5日〜平成12年2月29日
応募件数: 378
審査期間: 平成12年3月〜6月
選定件数: 81
研究期間: 平成12年8月〜平成15年3月(最長)

分野別選定結果

分野選定件数(応募数)
フェーズIIフェーズIAフェーズIBフェーズIB
(萌芽的研究)
総数
微小重力科学 0(1) 1(13) 10(53) 4(10) 15(77)
生物科学 0(3) 2(10) 5(27) 4(10) 11(50)
バイオメディカル 0(0) 2(12) 11(62) 5(11) 18(85)
宇宙医学 1(1) 2(9) 12(69) 6(16) 21(95)
宇宙科学 0(0) 1(3) 1(3) 1(1) 3(7)
地球科学 0(1) 1(1) 0(1) 0(1) 1(4)
宇宙利用技術開発 0(2) 1(11) 7(37) 4(16) 12(60)
 合 計 1(8) 10(59) 46(252) 24(59) 81(378)



第5回公募の研究区分及び研究分野


    1. 研究区分

    (1) フェーズ-II研究

     ISS「きぼう」を利用した軌道上実験への応募の準備段階として、科学的実験要求が明確に定義され、供試体、大規模な実験装置の要素技術開発及び実験実現性の検討を含む研究。

    研究費 :1億円以下/年
    研究期間 :1〜3年間

    (2) フェーズ-IA研究

     ISS「きぼう」を利用した軌道上実験に向けて、科学的実験要求を地上実験や解析等で明確化するための研究。

    研究費: 3千万円以下/年
    研究期間: 1〜3年間

    (3) フェーズ-IB研究

     宇宙環境利用に向けたアイデアを具体化するための研究。

    研究費: 6百万円以下/年
    研究期間: 1〜3年間

    (4) フェーズ-IB(萌芽)研究

     斬新な発想、新規性の高いアイデア等の発掘に資するために行う研究。

    研究費: 150万円以下(総額)
    研究期間: 約1.5年

    2. 募集する研究分野

     以下の8分野の募集を行う。

    • 微小重力科学
    • 微小重力物理学(第5回から新設)
    • 生物科学
    • バイオメディカル
    • 宇宙医学
    • 宇宙科学
    • 地球科学
    • 宇宙利用技術開発