プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

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H-IIAロケット第1段LE-7Aエンジンの8号機事故対策妥当性確認試験について

平成12年4月19日

宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

1. 概要

 H-IIロケット8号機事故原因究明活動の結果より、H-IIAロケット第1段に搭載するLE-7Aエンジンについて設計の妥当性を確認することを目的とする試験計画について報告する。

2. 経緯

(1) H-IIロケット8号機事故原因究明の結果、液体水素ターボポンプ(FTP)のインデューサ羽根が疲労により破損していることが明らかになった。
(2) このためH-IIロケット7号機用LE-7エンジンを使用した燃焼試験、およびインデューサ水流し試験を実施し、インデューサの疲労破損の原因については、キャビテーション状況の個体差及びインデューサの逆流に起因する整流ベーンの損傷による変動応力の増加等が有力な要因であると推定している。
(3) LE-7Aエンジンについては開発当初からキャビテーションの抑制対策を講じているが、より確実な開発を進めるために、インデューサ不具合要因について早急にエンジン燃焼試験及びインデューサ水流し試験による確認を行い、現設計エンジンの妥当性について確認する必要がある。

3. 試験計画概要

(1)LE-7Aエンジン試験(その1)

  • キャビテーションの発生状態の要因であるFTP入口圧力によるFTPの挙動を確認するために、燃焼試験を実施する。
  • FTP入口圧力は約0.5MPaから約0.3MPaまで変化させる。

  • 通常の計測項目に加え、特別計測項目としてFTP廻りの変動圧力等の計測を強化する。

  • 試験回数は約3回、総燃焼秒時は490秒程度を予定している。

(2)LE-7Aエンジン試験(その2)

  • 供試体の個体差等を確認することを目的に、燃焼試験にて標準作動点近傍で作動し、FTP入口部近傍の圧力データを取得する。
  • 試験回数は約3回、総燃焼秒時は150秒程度を予定している。

(3)LE-7A用FTPインデューサ水流し試験

  • インデューサ周りの変動圧力データ等の取得及びインデューサの強度解析結果の妥当性を確認するために、水によりポンプの運転を模擬した試験を実施する。

4. 今後の進め方

 H-II8号機事故原因としてインデューサ水流し試験及びエンジン燃焼試験により、設計の妥当性を確認し、今後の開発計画を設定することとしたい。

 なお、当面の試験日程は、次のとおり。

LE-7Aエンジン試験(その1): 4月21日、25日、28日
LE-7Aエンジン試験(その2): 5月初旬頃
インデューサ水流し試験: 4月下旬頃