プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

プリント

向井千秋宇宙飛行士のSTS-107副ミッションサイエンティストとしての
派遣について

平成12年8月14日

宇宙開発事業団

 宇宙開発事業団は、向井千秋宇宙飛行士を、米国航空宇宙局(NASA)が実施するSTS-107科学ミッション(2001年6月頃打上げ予定)の地上要員の一つである副ミッションサイエンティストとして活動させるため、NASAのジョンソン宇宙センターに派遣することとしましたので、お知らせいたします。

 副ミッションサイエンティストは、NASAのミッションサイエンティストの補佐として、STS-107科学ミッションに参加している実験提案研究者たちのとりまとめ業務の支援や、ミッション中は地上の管制センターにて宇宙実験運用に関わる統括補佐をおこないます。具体的には、生命・微小重力科学ミッションについての下記の業務をおこなう予定です。

  • ミッションとしての要求条件を常に把握し、管理する。
  • ミッションの優先順位の評価を行い、NASA本部に対し勧告する。
  • 代表研究者の作業部会に、副議長として参加する。
  • 各実験の優先順位付けを行う。
  • 代表研究者たちと共に、緊急時ガイドラインを作成する。
  • ミッション関連の普及資料を作成する。
  • ミッションの飛行後報告書の作成に関する調整を行う。

STS-107科学ミッションの副ミッションサイエンティストとしての派遣についての向井宇宙飛行士のコメント

 米国航空宇宙局(NASA)が実施するSTS-107科学ミッションの副ミッションサイエンティストに就任する事となりとてもうれしいです。

 この仕事は、宇宙実験を提案した研究者たちのとりまとめや、宇宙実験運用を行うもので、科学宇宙飛行士としてのこれまでの経験を十分に生かせるやりがいのある仕事と思います。

 この仕事を通じて科学宇宙飛行士としての資質向上にさらに努めるとともに、来る国際宇宙ステーション計画での日本の実験モジュール「きぼう」を利用した宇宙実験運用体制の構築に貢献していきたいと思います。

 今回の選定に関してご尽力いただいた皆様に心からお礼を申し上げます。今後とも皆様のご支援をよろしくお願いいたします。

 宇宙飛行士 向井千秋

STS-107科学ミッション概要

 STS-107科学ミッションは、スペースシャトルにスペースハブ等を搭載して様々な宇宙実験を行う科学研究ミッションである。

 ミッションの概要は以下のとおり。

  • 打上げ時期:平成13年(2001年)6月頃(予定)
  • オービタ:コロンビア号
  • ミッション期間:16日間
  • 搭乗員数:7名(内1名は、イスラエルのペイロードスペシャリストが搭乗する予定)
  • 搭載実験装置等:
    1. スペースハブ研究用ダブルモジュール
       生命科学、宇宙医学、流体物理等に関わるNASA、欧州宇宙機関(ESA)、スペースハブ商業利用等の31の実験装置が搭載される予定。
    2. MEIDEX(Mediterranean Israeli Dust Experiment)
       イスラエル宇宙機関とテルアビブ大学が実施する、地中海沿岸のサハラ砂漠からの大気中エアロゾル観測実験用装置。
       FREESTARに取り付けられる実験装置の一つとして搭載される予定。
    3. FREESTAR
       NASAゴダード宇宙飛行センター(GSFC)がとりまとめる実験装置集合体ペイロードであり、スペースシャトルの荷物室に取り付けられる。
       上記MEIDEX以外に、オゾン観測実験装置、太陽観測実験装置等5つの実験装置 及び 大気観測用学生実験小型衛星(軌道上で放出される予定)が搭載される予定。
  • 日本からは実験装置の搭載は無いが、9件の蛋白質結晶実験テーマで日本人研究者が参加予定。

注:打上げ時期及び搭載実験装置等については、今後の調整の進捗状況により変更があり得る。