プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

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向井千秋宇宙飛行士のSTS-107副ミッションサイエンティストとしての
派遣について

平成12年8月30日

宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

1. 報告事項

 向井宇宙飛行士を、STS-107科学ミッションに関わる地上要員の一つである副ミッションサイエンティスト(Deputy Mission Scientist)として活動させるため、NASAジョンソン宇宙センター(JSC)に派遣することについて報告する。

2. 向井宇宙飛行士の派遣の目的

  1. 向井宇宙飛行士を最新の宇宙実験ミッションに参加させることにより、科学宇宙飛行士としての能力の維持向上を図る。
  2. スペースシャトルを利用した科学ミッションの代表研究者等のとりまとめを行うなど、経験を蓄積していくことにより、今後NASDAが主体性をもって実施していく必要のあるJEM利用の科学実験運用に係わる体制や手順の構築に資する。

3. STS-107副ミッションサイエンティストの業務

 副ミッションサイエンティストは、スペースシャトルを利用した科学ミッションにおいてNASAから指名され、ミッションサイエンティストの補佐として、実験を提案した代表研究者たちのとりまとめ支援を行うとともに、ミッション中は地上の管制センターにて宇宙実験運用に係る統括補佐を行う。なお任期は2年間(打上げ前活動に約1年間、打上げ後活動に約1年間)である。

 向井宇宙飛行士が、副ミッションサイエンティストとして担当する主要な業務は以下のとおり。

  1. ミッションにおいて最大限の成果を得るため、生命・微小重力科学ミッションとしての要求条件の把握・管理。
  2. 科学的利点の観点から、搭載ペイロードを修正・変更するための生命・微小重力科学ミッションの優先順位の評価、NASA本部に対する勧告。
  3. 生命・微小重力科学研究者の作業部会に副議長として参加。
  4. 生命・微小重力科学ミッションに係る各実験の優先順位付け。
  5. 必要に応じた、生命・微小重力科学ミッション以外の搭載ペイロードの開発者たちとの調整。
  6. 生命・微小重力科学ミッションの研究者たちとともに緊急時ガイドラインの作成。
  7. 生命・微小重力科学ミッション関連の普及用資料の作成。
  8. 生命・微小重力科学ミッションの飛行後報告書の作成に関する調整。



STS-107科学ミッション概要

 STS-107科学ミッションは、スペースシャトルにスペースハブ等を搭載して様々な宇宙実験を行う科学研究ミッションである。

 ミッションの概要は以下のとおり。

・打上げ時期 平成13年(2001年)6月頃(予定)
・オービタ コロンビア号
・ミッション期間 16日間
・搭乗員数 7名(内1名は、イスラエルのペイロードスペシャリストが搭乗する予定)
・搭載実験装置等
  1. スペースハブ研究用ダブルモジュール
     生命科学、宇宙医学、流体物理等に関わるNASA、ESA、スペースハブ商業利用等の31の実験装置が搭載される予定。
  2. MEIDEX(Mediterranean Israeli Dust Experiment)
     イスラエル宇宙機関とテルアビブ大学が実施する、地中海沿岸のサハラ砂漠からの大気中エアロゾル観測実験用装置。
     FREESTARに取り付けられる実験装置の一つとして搭載される予定。
  3. FREESTAR
     NASAゴダード宇宙飛行センター(GSFC)がとりまとめる実験装置集合体ペイロードであり、スペースシャトルの荷物室に取り付けられる。
     上記MEIDEX以外に、オゾン観測実験装置、太陽観測実験装置等5つの実験装置 及び 大気観測用学生実験小型衛星(軌道上で放出される予定)が搭載される予定。
日本からは実験装置の搭載は無いが、スペースハブ商業利用の実験装置を用いた9件の蛋白質結晶実験テーマで日本人研究者が参加予定。

打上げ時期及び搭載実験装置等については、今後の調整の進捗状況により変更があり得る。