宇宙開発事業団
本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。
若田宇宙飛行士のスペースシャトル・ディスカバリー号(STS-92)への搭乗(日本人として初めて国際宇宙ステーション組立ミッション(3A)へ参加すること。)について報告する。
スペースシャトル・ディスカバリー号(STS-92)の打上げ及び帰還日時は、以下の予定である。
● | 打上目標日時 | 2000年10月6日(金)午前10時30分(日本時間) |
2000年10月5日(木)午後9時30分(米国東部夏時間) | ||
● | 着陸目標日時 | 2000年10月17日(火)午前5時58分(日本時間) |
2000年10月16日(月)午後4時58分(米国東部夏時間) |
上記の打上げ目標日時に向けて、ケネディ宇宙センターでの打上げ準備作業、STS-92搭乗員のジョンソン宇宙センターでの訓練が実施されている。
(ミッションの概要については別紙1に示す。)
今回の若田宇宙飛行士の主要任務は、以下のとおりである。
(1) | シャトルのロボットアームを操作し、姿勢制御用のジャイロや通信アンテナ等を装備したZ1トラスと与圧結合アダプタ(PMA-3)を国際宇宙ステーション(ISS)に結合 |
(2) | シャトルのロボットアームを操作し、船外活動中のクルーの移動等の作業支援 |
(3) | 三次元立体カメラ(IMAX-3D)を使用したISSの組立状況の撮影 |
(4) | ISSへの補給品(水、食料、生活用品等)の搬入 |
(5) | 打上げ時のシャトルシステム運用 |
(6) | シャトルの通信システムや環境制御システムの操作 |
(7) | ISSとのランデブー/ドッキング、ドッキング解除時の撮影 |
NASDAにおいては、日本人搭乗員支援のため、隊組織を編成し、企画、広報、渉外、情報連絡、搭乗員医学管理等を実施する。
現地における支援隊の活動期間は9月30日〜10月19日を予定している。
STS-92広報は、ISS/JEM広報情報センターが担当し、広報イベント等の企画/作成/実施を行う。 報道対応については本社広報室の協力を得てSTS-92支援隊広報班が実施する。(広報活動計画については別紙2に示す。)
また、従来通り情報伝達マニュアル及び危機管理マニュアルの作成を行っており、ISS/JEM運用時代に向けた情報伝達体制を考え、筑波に情報の拠点をおき、打上げ、帰還及びVIPコール等の重要イベント時のみ本社コントロールルームに一時的な情報拠点を設け情報伝達体制を確立する。
今後、関係各部署に対し調整を行った後、資料の制定を行う。
国内から現地への視察者の申し込み状況は以下の通りである。
● | 宇宙飛行士家族拡大枠 | 80名 | |
● | 打上げ視察者 | 180名 | |
合 計 | 260名程度 |
NASDA搭乗員の安全管理は、「NASDA搭乗員安全確認計画書」(JSX-2000026)を基に安全確認を実施し、NASA搭乗員と同様、NASAの実施する安全審査・確認プロセスにより行われる。NASDAは、打上げ前安全・信頼性評価審査会(PAR)、NASAペイロード準備審査(PRR)、飛行準備審査(FRR)等各種審査会に参加して安全管理状況の確認を行うとともに、飛行中はNASAミッションマネージメントチーム(MMT)ミーティングに出席し、問題のないことを確認する。
なお、NASDAは、日本人搭乗員の安全管理上疑義がある時にはNASAに協議を申し入れることとする。
スペースシャトル・ディスカバリー号による3Aフライトは、シャトルによる国際宇宙ステーションの組立フライトとしては、5回目。ロシアのロケットによる打上げを含めると7回目の組立フライトである。(プログレス補給船による補給フライト2回を除く)
この飛行ではトラス構造物(Z1トラス)と与圧結合アダプタ(PMA-3)を打上げ、軌道上でシャトル遠隔マニュピュレータシステム(RMS)を使用して組立てられる。
項目 | 計画 | |
---|---|---|
STSミッション番号 | STS-92 | |
オービタ名称 | ディスカバリー号(ディスカバリー号としては28回目の飛行) | |
打上予定日時 | 2000年10月5日21時30分(米国東部夏時間)2000年10月6日10時30分(日本時間) | |
ロンチウインドウ | 10分 | |
打上場所 | フロリダ州NASAケネディ宇宙センター(KSC)39A発射台 | |
飛行期間 | 約11日間 | |
搭乗員数 | 7名 | |
軌道高度 | 投入高度:約327km(177海里) | |
軌道傾斜角 | 51.6度 | |
帰還予定日時 | 2000年10月16日16時58分(米国東部夏時間)2000年10月17日5時58分(日本時間) | |
帰還予定場所 | 主帰還地:フロリダ州NASAケネディ宇宙センター(KSC)代替帰還地:カリフォルニア州NASAドライデン飛行研究センター(DFRC) | |
主要搭載ペイロード | カーゴベイ | Z1トラス、PMA-3/SLP、DDCU、EVA工具箱IMAX 3次元カーゴベイカメラ(ICBC-3D) |
ミッドデッキ | ISSへの補給品 |
PMA-3 | :Pressurized Mating Adapter-3 |
SLP | :Space Lab Pallet |
DDCU | :DC-DC Converter Unit |
ICBC-3D | :IMAX Cargo Bay Camera 3 Dimension |
(1) | 広報資料による情報提供 |
(2) | プレス説明会(8月3日 NASDA本社) |
(3) | プレスツアーの開催(8月21日〜23日 NASA JSC, KSC) |
(4) | 打上げカウントダウン最終リハーサル(TCDT:Terminal Countdown Demonstration Test)における取材(9月15日、16日予定 NASA KSC) |
(1) | NASDAミッションブリーフィング:飛行運用期間中に、ジョンソン宇宙センターにおいてNASDAが主催するミッションブリーフィングを実施する。 ●飛行4日目 野口宇宙飛行士が解説 ●飛行6日目 土井宇宙飛行士が解説 |
(2) | 軌道上記者会見:約45分間 10月16日(土)午前6時35分頃(日本時間) 10月15日(金)午後4時35分頃(米国中部夏時間) (このうち日本語による質疑応答は20分) |
若田宇宙飛行士の帰還後、日本国内において一般国民向けの帰国報告会を開催する。同報告会はシャトル帰還後の約2ヶ月半後に開催予定であり、クルーを含めた帰国報告会では東京及び大阪を予定しており、若田宇宙飛行士のみの報告会では大宮及び福岡を予定している。