プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

プリント

スペースシャトル・エンデバー号(STS-97/国際宇宙ステーション組立ミッション(4A))の打上げ・運用結果について(報告)<配付資料>

平成12年12月20日

宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

1. 報告事項

 スペースシャトル・エンデバー号(STS-97/国際宇宙ステーション組立ミッション(4A))の運用結果について報告する。

2. 打上げ結果

 スペースシャトル・エンデバー号(STS-97/4A)の打上げから帰還までの日時は、以下の通りである。

打上げ日時 2000年12月1日(金)午後12時06分(日本時間)
2000年11月30日(木)午後10時06分(米国東部標準時間)
ドッキング日時 2000年12月3日(日)午前4時59分(日本時間)
2000年12月2日(土)午後1時59分(米国中部標準時間)
ドッキング解除日時 2000年12月10日(日)午前4時13分(日本時間)
2000年12月9日(土)午後1時13分(米国中部標準時間)
着陸日時 2000年12月12日(火)午前8時03分(日本時間)
2000年12月11日(月)午後6時03分(米国東部標準時間)

3. スペースシャトル・エンデバー号(STS-97/4A)のミッションの概要

 スペースシャトル・エンデバー号によるSTS-97/4Aミッションは、シャトルによる国際宇宙ステーションの組立フライトとしては6回目。ロシアのロケットによる打上げを含めると9回目の組立フライトである。(プログレス補給船による補給フライト2回を除く)
 この飛行ではP6トラスと呼ばれる太陽電池パドルやバッテリーなどを搭載した巨大な構造体を打上げ、軌道上でマニピュレータシステム(RMS)と3回の船外活動(EVA)にて組立を行った。

STS-97/4Aフライト飛行結果概要

項目結果
オービタ名称 エンデバー号(エンデバー号としては15回目の飛行)
打上げ日時 2000年11月30日22時06分(米国東部標準時間)
2000年12月 1日12時06分(日本時間)
打上場所 フロリダ州NASAケネディ宇宙センター(KSC)39B発射台
飛行期間 約11日間
搭乗員数 5名
コマンダー ブレント・ジェット
パイロット マイケル・ブルームフィールド
ミッションスペシャリスト ジョセフ・タナー
ミッションスペシャリスト カルロス・ノリエガ
ミッションスペシャリスト マーク・ガーノー(CSA所属)
軌道高度 投入高度:約320km(173海里)
軌道傾斜角 51.6度
帰還日時 2000年12月11日18時03分(米国東部標準時間)
2000年12月12日 8時03分(日本時間)
帰還場所 主帰還地:フロリダ州NASAケネディ宇宙センター(KSC)
主要搭載ペイロードカーゴベイ P6トラス、ラジエター
ミッドデッキ ISSへの補給品

P6トラスの概要

 P6トラスは重量が約17トン、スペースシャトルのカーゴベイ(貨物室)に収容するときのサイズは4.9m×4.9m×14.9mと、スペースシャトルのペイロード(貨物)としてはこれまでで最も重く、最も大きなものである。
 このミッションで取り付ける太陽電池パドルはパドルを挟んで両翼を展開すると長さが約240フィート(約73m)もあり、宇宙での構造物としてはこれまでで最も長いものとなる。
 P6トラスによる発電能力は過去の如何なる宇宙機よりも大きく、国際宇宙ステーション(ISS)の発電能力は片翼約32kW、両翼で約64kWに増強され、ザーリャとスヴェズダによる約10kWに比べるとこれまでの数倍になる。


STS-97/4Aフライト前後のISSイメージ図

4. 組立運用結果

 12月4日(月)から12月8日(金)(日本時間:以下同じ)までに予定されていた3回の船外活動とマニピュレータシステム(RMS)によるP6トラスの組立、太陽電池パドルの展開、Sバンドアンテナの移設、プラズマ検出装置の取付け、ケーブルの結合及びラジエターの展開など完了した。
 ただし、ISSの進行方向に対して右舷側太陽電池パドルを展開した時に、テンションワイヤと呼ばれる太陽電池パドルを緩みなく張っておくためのワイヤが正常に機能せず、緩んだ状態となっていた。このため、12月8日(金)の3回目の船外活動時に緩んだワイヤを巻き戻す追加作業を行い問題を解決した。
 また、船外活動が計画より順調に進んだため、5Aフライトの準備作業としてPMA-2(Pressurized Mating Adapter2: 与圧結合アダプター)に接続されたケーブル配線の取り外しを行った。これは、5AフライトにおいてPMA-2をZ1トラスに移設し、米国実験棟(デスティニー)をノード1に取り付けるためである。
 現在、太陽電池パドルは正常に太陽追尾を行っており、平均13kWの電力をISSに供給している。

5. プログレス補給船(2P)の再ドッキング

 11月16日(木)に打ち上げられたプログレス補給船(2P)は、STS-97/4Aフライトにおいて物理的な干渉をおこす為、12月2日(土)午前1時20分にいったんISSと分離し、軌道上待機状態となっている。
 現在、米国とロシアのミッションマネージャーが協議を行っており、12月26日(火)に前回失敗した自動ドッキングシステムの試験を行うためISSに再びドッキングさせるか否か検討を行っている。

6. 次回ISS組立フライト予定

 次回ISS組立フライトは、スペースシャトル・アトランティス号(STS-98/5Aフライト)の打上げが2001年1月18日(木)に予定されており、米国実験棟(デスティニー)が組み立てられる予定である。
 なお、5Aフライトの最新の状況と予定を以下に示す。

39A射点への移動 12月13日(水)
米国実験棟(デスティニー)の搭載 1月3日(水)
打上げカウントダウン最終リハーサル 1月5日(金)
打上げ 1月18日(木)

STS-98/5Aフライト飛行計画概要

 スペースシャトル・アトランティス号によるSTS-98/5Aミッションは、シャトルによる国際宇宙ステーションの組立フライトとしては7回目。ロシアのロケットによる打上げを含めると10回目の組立フライトである。(プログレス補給船による補給フライト2回を除く)
 この飛行では米国実験棟(デスティニー)を打上げ、軌道上でマニピュレータシステム(RMS)と船外活動(EVA)によって組み立てる。

項目計画
オービタ名称 アトランティス号(アトランティス号としては22回目の飛行)
打上げ日時(予定) 2001年 1月18日02時44分(米国東部標準時間)
2001年 1月18日16時44分(日本時間)
ロンチウインドウ 5分
打上場所 フロリダ州NASAケネディ宇宙センター(KSC)39B発射台
飛行期間 約11日間
搭乗員数 5名
コマンダー ケネス・コックレル
パイロット マーク・ポランスキー
ミッションスペシャリスト ボブ・カービーム
ミッションスペシャリスト トーマス・ジョーンズ
ミッションスペシャリスト マーシャ・アービンズ
軌道高度 投入高度:約320km(173海里)
軌道傾斜角 51.6度
帰還日時(予定) 2001年 1月28日21時 3分(米国東部標準時間)
2001年 1月29日11時 3分(日本時間)
帰還予定場所 主帰還地:フロリダ州NASAケネディ宇宙センター(KSC)
代替帰還地:カリフォルニア州NASAドライデン飛行研究センター(DFRC)
主要搭載ペイロードカーゴベイ 米国実験棟(デスティニー)
ミッドデッキ ISSへの補給品

STS-98/5Aフライト前後のISSイメージ図