本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。
1. 報告事項
安全・開発保証関係業務に関するNASA/NASDA合同会議(NASA/NASDA Joint Working Group on Mission Success Assurance)について報告する。
2. 会議の目的
NASA/NASDAの安全、信頼性、品質管理に関する情報交換と協力の推進
3. 活動状況
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平成2年2月 第1回会議をNASA本部(ワシントンDC)で開催し、以後約1年間隔で、NASDA・NASAで交互に開催してきた。 |
(2) |
平成12年11月に第7回会議をNASDAで開催した。 |
(3) |
NASDAにおいては、情報交換により得られた関連情報*の業務への活用・展開の他、NASA/NASDAの共同プログラムとして水素/酸素垂直落下衝突実験(平成7年〜8年)を米国ホワイトサンズで実施した。
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GIDEP(Government Industry Data Exchange Program)あるいはGSI(Government Source Inspection)に関する事項 |
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4. 第7回会議の概要
4.1 開催日程等
(日程)
平成12年11月7日(火)〜9日(木)
於:宇宙開発事業団(本社及び筑波宇宙センター)
(出席者)
NASDA側:安全・信頼性管理部担当理事、安全・信頼性管理部及び宇宙輸送システム本部担当者等
NASA側出席者:安全・ミッション保証局長他
4.2 第7回会議の結果
第7回会議での討議の要点は以下のとおり。
(1)設立趣意書(Charter)の確認
設立趣意書(Charter)の内容を見直し、今後会議で扱うべきテーマの範囲を、安全、信頼性、品質管理、EEE部品*、リスクマネジメントと定めた。
*:Electrical Electronic and Electromechanical parts(電気、電子、電気機械部品)
(2)NASAにおける新たな動き
- NASA統合アクションチーム(NASA Integrated Action Team:NIAT)の活動
NASAは、NASA統合アクションチームを組織し、一連のミッションの失敗または不具合を評価した。その中で、NASA安全・ミッション保証局は「リスクの理解と制御」を担当し、以下の作業を行うこととした。
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リスクの定義、評価及びマネジメントの改善 |
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許容リスク及び成功基準の定義の改良 |
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安全及びミッション保証への参画の明確化 |
- 確率論的リスク評価(Probabilistic Risk Assessment:PRA)
スペースシャトル チャレンジャの事故に関する是正策の一つとして、シャトルのリスクマネジメントに確率論的リスク評価を実施することが要求され、システム改善の評価等に採用している。1997年(平成9年)には、NASA定量的リスク評価システム(Quantitative Risk Assessment System:QRAS)が開発された。
また、宇宙ステーションに関しても1999年(平成11年)から定量的リスク評価実施の検討を開始した。
- リスクに基づく調達マネジメント
米国において連邦調達規則(Federal Acquisition Regulation)が改訂され、NASAは調達に際してリスクマネジメントを適用し「リスクに基づく調達マネジメント」を実施することとした。
- 自律制御の宇宙機に対するリエントリ及び着陸に対する安全・ミッション保証要求の制定
X-33/X-34、X-37/X-40A、X-38等の極超音速実験機の再突入・着陸に対する安全・ミッション保証要求を制定する予定である。
- ソフトウェアに関する独立検証及び有効性確認(Independent Verification & Validation:IV&V)について
NASAは、ソフトウェアのIV&Vの方針を制定する予定である。ソフトウェアIV&Vは、システム工学と品質保証の両者を元にソフトウェア開発におけるリスクを軽減する活動である。
(3)NASDAからの説明内容
NASDAからは以下の内容の説明を行った。
- NASDAの近況
- H-IIA等プロジェクトの状況
- 品質保証関連の組織改革状況
- ISO9000、ISO14000の認証取得状況
- 非破壊検査関連研究の紹介
- 適切なリスクの評価のあり方について
- 宇宙機の再突入基準の検討状況
- 宇宙用高圧ガス機器技術基準の紹介
- 電子部品の状況
- 教訓システムの紹介
- 信頼性技術情報の紹介
- ヒューマンファクタ分析の紹介
- JEMの安全・開発保証活動の現状紹介
5.今後の予定
平成13年度に次回会議を開催する。