宇宙開発事業団
本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。
平成12年11月の科学協力に係るNASDA・NASA共同声明 に基づき、平成13年5月15日にNASAゴダード宇宙飛行センター (米国メリーランド州グリーンベルト市)において第1回全球降水観測ミッション (GPM、下記参照) の日米合同作業部会が開催された。またこれに引き続き翌16日から18日までメリーランド大学 (米国メリーランド州カレッジパーク市) においてNASAとNASDAの共催でGPM ワークショップが開催されたので、これら2つの会議の概要について報告する。
日米の作業部会メンバー他が集まり、GPM計画の考え方と当面の進め方についてNASA側との調整を行った。日本側からは、NASDAから古濱理事を含めて6名、地球観測委員会のTRMM後継ミッション検討チーム(ATMOS-A1サイエンスチーム)より2名(名大 中村教授、東大 小池教授)、通信総合研究所(CRL)より2名、気象庁より2名が参加した。米国側は、NASAから、NASA本部地球科学局のCleave副局長、 TRMM(熱帯降雨観測衛星)及びGPMのプログラムサイエンティストのKakar博士を含む11名、さらにコロラド州立大のKummerow教授、プリンストン大のSteiner教授等が出席した。
世界の各国、各機関がGPMに寄せる期待ならびに計画への貢献の可能性を発表、討論し、協力の形態を模索した。参加者の国、機関は、米国(NOAA、NRL、USDA、USGSなど)、カナダ、日本(NASDA、CRL、気象庁)、韓国、インド、欧州(ヨーロッパ宇宙機関、イタリア、フランス、ドイツ、ヨーロッパ中期予報センター)など16カ国24機関から200名を超える参加があった。
各国の各機関が、GPM への期待ならびに計画への貢献の可能性を発表した。宇宙機関は、2007年頃のそれぞれの衛星計画とGPMとの関わり、特にマイクロ波放射計センサの提供可能性などについて報告した。気象機関からはデータ同化等GPMデータ利用の可能性について説明があった。その中でのトピックは以下の通りである。
(1) | 1機の熱帯降雨観測衛星(TRMM)タイプのコア衛星と8機のマイクロ波放射計を搭載した衛星群(コンステレーション)から構成される。
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(2) | コア衛星は、2周波降雨レーダを用いて降水の3次元高精度・高感度観測を行うほか、マイクロ波放射計の校正源となる中心的衛星である。2周波降雨レーダについては、現在、NASDAとCRLの間で共同研究を行っている。 | ||||
(3) | コンステレーション衛星群は、8機のマイクロ波放射計衛星により、3時間毎の全球降水観測達成を目的としている。既存の衛星計画(NOAA/NPOESS等)を含めて8機の観測とし、NASA、ESA等が提供する衛星により観測ギャップを埋める。 | ||||
(4) | 3時間毎の降水データは、数値気象予報の改善、短期天気予報に大きく貢献できるほか、気候変動に大きな影響を与える全球水循環の実体の把握、世界の水資源管理、農業計画等への貢献も期待されている。 |