本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。
1. 報告事項
本年夏期打上げのH-IIAロケット試験機1号機用の第1段エンジンについて、最終的な性能確認のための領収燃焼試験の準備が整い燃焼試験を実施することとしたため、その他の準備状況と合わせ報告する。
2. 経緯
(1) |
平成12年10月に実施した試験機1号機用第1段エンジン(LE-7A)燃焼試験において、液体酸素ターボポンプのメッキ剥離と液体酸素タンク加圧用配管の漏洩不具合が発生した。これらの不具合については原因究明及び対策を実施した後再度燃焼試験を行い所要のデータを取得したが、試験機1号機については通常の打上げよりも入念な確認を実施することとし、12年度冬期に予定していた試験機1号機の打上げを13年度夏期に延期した。 |
(2) |
その際、宇宙開発事業団は、「品質確認対策チーム」を組織し試験機1号機の品質を再確認するとともに、試験機1号機用LE-7Aエンジンを新製作することとし、作業を進めてきた。 |
3. 再確認作業の状況
- 宇宙開発事業団は、試験機1号機打上げに向けメーカ及び下請けメーカと一体となった「品質確認対策チーム」(リーダ:柴籐宇宙輸送システム本部長)を平成12年12月19日に組織し、試験機1号機について、製造、試験及び品質管理の全ての段階が設計に照らして問題ないことの再確認を実施してきた。
- このうち、LE-7Aエンジンについては、領収燃焼試験実施前に確認すべき項目を点検し、問題点を抽出し、必要な対策を講じた(別紙参照)。これにより領収燃焼試験へ移行することとした。
- なお、エンジンの寿命余裕の分析のための振動環境下における応力等の詳細解析や射場における整備作業手順書等のエンジン以外のの再確認作業については、一部継続実施中である。
4. 試験機1号機の製作状況(図参照)
- 機体や第2段エンジンなどは、製作・試験を終え工場等にて保管中である。
- LE-7Aエンジンの液体水素ターボポンプ(FTP)及び液体酸素ターボポンプ(OTP)については、実際の飛行に用いるターボポンプのインデューサ吸い込み特性を直接的に把握することを目的として、単体での技術試験を実施した。この結果取得された低入口圧力状態を含むインデューサ吸い込み特性データにより、実際に遭遇しうる飛行条件において、ターボポンプが問題なく運転できることを確認した。
5. LE-7Aエンジン領収燃焼試験
- LE-7Aエンジン領収燃焼試験は、実際に飛行するエンジンについて燃焼試験を行い、エンジンの基本機能・性能を確認するとともに適切な運転状態に調整を行うことを目的としている。
- 試験機1号機用エンジンについては、以下のステップで4月12日より燃焼試験を実施する予定である。
(1) |
初期作動確認及び作動点調整試験(50秒) |
:数回 |
(2) |
フライト条件確認試験(約120秒) |
:1回 |
6. 今後の予定
- エンジン領収燃焼試験以降の予定は以下のとおりである。