本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。
実施時期の見直しについて
平成14年度に予定されていた運輸多目的衛星新1号機(MTSAT-1R)の打上げ機会を利用して、H-IIA上段の再々着火実験の実施することとしていた。しかしながら、MTSAT-1Rの打上げが衛星側の都合で平成15年度に延期されたため、上記再々着火実験についても併せて延期することとしたい。
(参考)再々着火実験の目的
今後想定される静止衛星の静止軌道への直接投入及び異なる軌道への複数衛星同時打上げ等の多様なミッションに対して速やかに応えるための基礎データの取得(添付図1、2、3参照)
ミッション | メリット |
静止衛星の静止軌道直接投入 |
衛星にアポジモータを搭載する必要がなく、衛星の設計自由度が向上 |
月・惑星探査 |
発射可能時間帯が狭い月・惑星探査に対し、地球周回軌道上の待機飛行・再々着火を行うことで、探査軌道への確実な移行が可能 |
複数衛星の同時打上げ |
第2段の複数回燃焼により低高度から中高度軌道等の様々な軌道への複数衛星打上げ、同一軌道上への多数衛星の投入が可能 |
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図1 H-IIAロケット上段再々着火技術の利用例
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技術課題 | 再々着火実験で得られる成果 |
電子機器の熱制御 |
長秒時飛行中の電子機器の温度データ取得
ヒートシンク追加等の熱設計の評価データ取得 |
推進薬タンクの断熱特性 |
タンク入熱量データの取得 |
推進薬液面制御 |
セトリング用酸素/水素スラスタの作動データ取得
再々着火前の 液面挙動データ取得 |
タンク再加圧/再着火 |
減圧コースト後のタンク再加圧特性データ取得
少量推進薬時における再々着火データ取得 |
電波リンク向上 |
高々度における電波リンクデータ取得 |
電源系容量の増強 |
長秒時飛行中の電力消費データ取得 |
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図2 再々着火実験の概要
図3 H-IIAロケット第2段の再々着火に関する要素技術