プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

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H-IIAロケット試験機2号機の打上げについて

平成13年11月14日

宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

1. 打上げの目的

固体補助ロケット(SSB)4本付きの標準型のH-IIAロケットにより、静止トランスファ軌道への飛行実証を行い、その機能・性能を実証するためのデータを取得する。
民生部品・コンポーネント実証衛星(MDS-1)及び高速再突入実験機(DASH)を所定の軌道に投入する。

2. 試験機2号機の打上げ日時

 平成14年1月31日  11時40分〜12時50分

3. 試験機2号機の準備状況

試験機2号機については、本年8月に打上げ成功した試験機1号機から得られた成果を充分に反映し、確実な打上げを目指して準備中。

E-5Bエンジン、LE-7Aエンジンの領収燃焼試験を終了し、機体組立工場にて機体に取り付け済み。
同工場では第1段及び第2段機体の電気系統を接続し(フェアリング、SRB-A等は模擬回路を使用)、実飛行状態を地上でシミュレートする全段システム試験を実施中。
フェアリング及びSRB-Aについては、最終点検作業を実施中。
SSBについては、製作を終え種子島にて保管中。

4. 今後の計画




試験機の形態

MDS- 1 の概要

【目的】
 将来の民生部品の宇宙適用における地上評価技術の確立、コンポーネントの小型軽量化技術の宇宙実証、宇宙環境の計測を行う。
【仕様】
本体寸法 1. 2m ×1. 2m ×1. 5m
質量 約480Kg
運用軌道 静止トランスファー軌道
遠地点高度 36, 000 Km
近地点高度 500 Km
軌道傾斜角 28. 5 deg
【ミッション】
1.民生部品の地上評価技術の検証
2.コンポーネントの小型軽量化技術の確認
3.宇宙放射線等の環境計測
 MDS- 1 は宇宙放射線環境の厳しいバンアレン帯を通過するため、静止軌道約10 倍に相当する宇宙放射線被曝量の実験が可能。また、1周回中に宇宙放射線強度の強いエリア、中くらいのエリア、弱いエリアを通過するため、宇宙放射線強度の違いによるデータ取得も出来る。

高速再突入実験機(DASH)の概要

【目的】
将来の月及び惑星からのサンプルリターン等のミッションで必要となる、高速再突入機に必要な技術の実証及び蓄積
【仕様】
本体寸法 約0.7m ×0.5m ×0.5m
質量 約90Kg
投入軌道 静止トランスファー軌道
遠地点高度 36,000 Km
近地点高度 500 Km
軌道傾斜角 28.5 deg
【ミッション】
高速再突入時のデータ取得
・約7 周回、約3 日間、静止トランスファー軌道を周回
・軌道離脱モータに点火し、オービタから切り離されたカプセルは大気圏に高速再突入
・パラシュートの開傘により、カプセルは地上へ緩降下
・緩降下の際に、実験機の計測データをテレメータ電波の受信により取得
・落下地点はモーリタニア国内砂漠地帯を予定

性能確認用ペイロード(VEP-3)の概要

【目的】
 H-IIAロケットSSB装着形態での打上げ時のペイロード環境計測を実施するため、衛星とのインターフェース条件となる温度・加速度・音響環境を検証。

【仕様】
質量 約33kg
計測
温度センサ
加速度センサ
音響センサ
1ch
3ch
1ch


【補足】
 軌道投入精度については、衛星側からの軌道計測データにより検証可能