本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。
報告事項
H-IIAロケット試験機1号機の飛行試験について報告する。
試験機1号機の飛行試験の目的
標準型H-IIAロケットの最も基本的な形態により、静止トランスファ軌道への飛行を行い、その機能・性能を実証するためのデータを取得すること(飛行実証)。
試験機の形態
飛行データの取得について
- 第1段エンジンの点火からロケットのリフトオフ、更に飛行シーケンスが進むに従い、各々の技術項目を実証するためのデータを順次取得(次ページ)。
- 飛行後には取得されたデータに基づき解析を行い、所期の性能が確保されていることを確認。
飛行実証する技術
飛行実証する技術の例
(LE-7Aエンジン・推進系)
飛行実証する技術の例
(LE-5Bエンジン)
■地上では完全に模擬出来ない宇宙環境での作動
飛行実証する技術の例
(SRB-A分離)
SRB-A分離は、H2Aロケットで新規に採用した方式である。
分離モータ点火、前方/後方ヨーブレス切断による分離運動が開始され、
スラストストラット軸力が引張に転じた後に、スラストストラットを切断することで完結する。
・画像データによる分離運動評価
・テレメータによる分離シーケンス評価、コア機体への外乱評価
飛行実証する技術の例
(姿勢制御系)
姿勢制御系に関する実証内容
☆ 安定性が良いこと
☆ 応答性が良いこと
☆ 機体振動や推進薬の
動揺と連成しないこと
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飛行実証に必要な追加装備とペイロード
■標準装備に加え、試験機1号機では以下の追加機器、ペイロード等を搭載し、技術データを取得
(1)技術テレメータ装置
基本テレメータ装置に加え、送信能力を大幅に増強(基本テレメータと比べ5〜10倍の伝送容量)するため、技術テレメータ装置を搭載。H-IIロケットに比べ高周波の情報が必要な振動、画像等のデータを多数追加。
- 1段技術テレメータ:160項目(1.3 Mbps )
- 2段技術テレメータ: 15項目(768 Kbps )
- 1段基本テレメータ:540項目(131 Kbps )
- 2段基本テレメータ:750項目(131 Kbps )
(2) 性能確認用ペイロード(VEP-2)
- ペイロード環境性能の評価のため、VEP-2上で温度(4点)、加速度(3点)を計測。
- ドップラ測距装置(DRE)を搭載することにより、H-IIAロケットの投入軌道を計測し、軌道投入精度を評価。
- さらに、軌道投入後レーザ測距装置(LRE)を分離し、地上からのレーザ測距により、DREによる投入軌道計測精度をさらに向上。
- なお、LREは将来の高精度軌道決定のための事前実証に役立つ簡易な実験にも利用。
画像取得計画
VEP-2の概要
LREの概要
その他
- LE-7Aエンジン部及びSRB-Aノズル部に、落下地点探査用音響ビーコンを搭載。
- 海中から発信される音波をもとに落下地点の探査実験を行う予定。