プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

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第15回地球観測衛星委員会(CEOS)本会合及び
第8回統合地球観測戦略パートナーズ(IGOS-P)会合の開催結果について

平成13年11月19日

宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

1. 報告事項

 2001年11月、京都で開催された第15回CEOS本会合及び第8回IGOS-P会合の開催結果について報告する。

2. 地球観測衛星委員会(CEOS)本会合について

2.1 設立経緯

 CEOSは、宇宙からの地球観測活動の国際調整とともに、地球観測システムの補完性・整合性を調整する宇宙機関の組織として1984年に設立。

地球観測衛星委員会(CEOS)の概要

2.2 開催概要

(1)日程 11月6日(火)〜7日(水)午前
(2)場所 京都国際会館(京都市左京区宝ヶ池)
(3)参加者 欧州宇宙機関(ESA)、米国航空宇宙局等の41の宇宙機関の代表 約110名
(日本側の参加者)
文部科学省 研究開発局 素川審議官(共同議長)、
宇宙利用推進室 渡辺室長補佐、平賀調査員
NASDA 衛星総合システム本部 古濱本部長(共同議長)、村越調査役、石田主任、
祖父江副主任、小野田主査ほか
オブザーバー   経済産業省、気象庁

2.3 結果概要

IGOS-Pへの貢献強化のためのCEOSの機構・運営見直し

 IGOS-Pとの連携的役割を担っているCEOS戦略実施チーム(SIT)を恒久設置とする(現在は暫定設置)、CEOS議長をIGOS-PにおけるCEOS代表者とする、機構・運営見直しの作業をさらに1年間延長する等の案が採択された。

CEOS本会合下の4つの作業部会からの活動報告(情報システム・サービス作業部会 他)

 情報システム・サービス作業部会においては、全球森林被覆観測(GOFC)のテストファシリティのデモンストレーション(試験的な地球観測データサーバ)が日米欧タイの協力で行われた。また、水循環テストファシリティの構築が提案された。水循環はIGOS-Pにおいて現時点で正式テーマ化していないが、当面その先行ミッションであるCEOPに対してテストファシリティ構築作業を実施することが承認された。校正検証作業部会においては、IGOSテーマとなる大気化学に関するサブグループを設立することとなった。CEOSで培われた衛星データの校正検証やテストファシリティ等の技術は、統合地球観測戦略パートナーシップ(IGOS-P)へ貢献する。

CEOSへのアジア太平洋地域宇宙機関(韓国、タイ)の加盟

 満場一致により韓国航空宇宙研究所(KARI)がメンバー、タイ地理情報宇宙機関(GISTDA)が準メンバーとしての加盟が承認された。

2.4 今後の予定

 CEOSで培われた技術をもってIGOS-Pへ貢献してゆくとともに、CEOSの組織見直し及び戦略策定のための活動を継続する。

 第13回CEOS情報システム・サービス作業部会をNASDA主催により、2002年2月NASDA本社にて開催予定。また、第16回CEOS本会合は2002年11月イタリアにて開催予定。

3. 統合地球観測戦略パートナーシップ(IGOS-P)会合について

3.1 設立経緯

 1994年7月、日本では宇宙開発委員会長期ビジョン懇談会報告書「新世紀の宇宙時代の創造に向けて」において「全地球観測システム」の構築を提案。これを基に、1998年に、研究のニーズに従った宇宙からの全球観測と、国際研究グループ等による地上観測システムの計画調整を行うため、関係国際機関がIGOS-Pを設立。

統合地球観測戦略(IGOS)パートナーシップ

www.igospartners.org

3.2 開催概要

(1)日程 11月7日(水)午後〜8日(木)
(2)場所 京都国際会館(京都市左京区宝ヶ池)
(3)参加者 CEOS、国連環境計画(UNEP)、国連教育文化機関(UNESCO)、世界気象機関(WMO)等13の機関の代表 約80名
(日本側の出席者)
文部科学省 海洋地球課 大塚課長、花岡調整官、内田調査員
NASDA 衛星総合システム本部 古濱本部長(議長)、村越調査役、石田主任、
祖父江副主任、小野田主査 他
オブザーバー 総務省、経済産業省、国土交通省、気象庁、国土地理院

3.3 会議の結果概要

環境関連の国際会議との連携

 第7回気候変動枠組条約(UNFCCC)締約国会議(COP7:マラケシュ、10月29日〜11月 9日)において、文部科学省/NASDAの働きかけにより、観測関連の問題に関し報告の任務を負うGCOS(全球気候観測システム)が、2003年秋のCOP9に向け、全世界の観測システムの総点検と、衛星と地上観測の統合を含む改善のための行動計画の策定を行うことが決定された。この動きに連携し、IGOS-Pは、GCOSの行動計画策定を支援していくと決定。
 持続可能な開発のための世界サミット(WSSD)に向け、CEOS、IGOS-Pとも議長のリーダーシップの下、Agenda21の実施のための新たな提案を準備することを決定。

IGOS水循環テーマの採択

 水循環について、テーマ・ペーパー(観測要求と現行計画を比較分析し、改善点を提言する計画書)を作成することが承認された。日米欧の衛星データと世界の地上サイトのデータ統合を行う協調集中観測計画(CEOP)が計画に含まれる。

IGOSオープンセッション

 IGOSの国内の認識を高めるために、プレス、関係省庁、研究者及び一般を対象として、オープンセッションを開催し、国内外参加者170名を得た。IPCC等の地球観測データへの要求と各IGOSテーマにおける対応についてIPCC代表、NASA地球科学局長等から報告が行われ、セッションの最後に「議長声明」を発表した。また、このオープンセッションはインターネットを通じて、世界各国に実況中継された。

IGOS-Pの体制強化

 CEOS議長とその他の機関による共同議長制の導入等を決定。WMOの全球観測システム(GOS)及び全球大気化学監視計画(GAW)の新規加盟が承認された。

3.4 今後の予定

 全球炭素循環テーマのワークショップを2002年2月頃に東京にて開催予定。また、世界サミット準備会合に向けた作業を継続する。次回IGOS-P会合は2002年6月パリにて開催予定。