宇宙開発事業団
本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。
宇宙開発事業団(NASDA)の国際宇宙ステーション(ISS)搭乗宇宙飛行士等が、本年4月からのアドバンスト訓練に参加することとなったので報告する。
なお、アドバンスト訓練は、基礎訓練を終了している宇宙飛行士として認定された者を対象として実施されるものである。
(1) | これまでは、米国及びロシアの宇宙飛行士のみがISSに滞在しており、ISS搭乗に係る訓練は、米ロ二国間の調整に基づき実施してきた。 |
(2) | 平成12年11月、各国の実施機関で構成する国際訓練管理会議(ITCB)において、全てのISS計画参加機関の宇宙飛行士を対象としたアドバンスト訓練を平成13年4月から開始することで準備を進めることが決まった。 |
(3) | 平成13年3月5日〜7日開催の多数者間搭乗員運用パネル(MCOP)において、NASDAからアドバンスト訓練への参加者として古川、星出及び角野注)の3名の宇宙飛行士を提案し了承された。 |
注1) | 平成13年1月、基礎訓練を終了した古川聡及び星出彰彦をISS搭乗宇宙飛行士として認定した。角野直子については基礎訓練の未実施の項目を本年9月頃迄に完了した後、宇宙飛行士として認定する予定である。 |
注2) | アドバンスト訓練参加者は基礎訓練を終了していることが原則であるが、角野宇宙飛行士候補者の参加について、上記MCOPで調整したところ、基礎訓練の国際要求のうち未了項目が明確になっており(水上サバイバル訓練のみ未了。)、当該項目について本年9月頃迄の完了が明確であることから参加が了承された。 |
アドバンスト訓練は、ISS搭乗宇宙飛行士に必須の訓練であり、ISSシステム及びペイロードの運用に関する共通の知識及び技能を習得する。参加する宇宙飛行士のグループで各国宇宙機関を訪問し、各国で分担している訓練を受ける。
アドバンスト訓練全体の実施期間は1年半から2年程度で、そのうちNASA担当分は8週間×3回、NASDA、ESA及びCSA担当分はそれぞれ約1ヶ月実施される予定である。(ロシア担当分は未定。)
各国宇宙機関は、それぞれが提供する各要素に関する訓練を担当し、複数の機関が提供する要素を統合して行う訓練についてはNASAが実施し、他の宇宙機関が支援する。今後NASDAはJEM及び日本のペイロードに関する共通訓練を担当する。
(ア) | ISSシステム正常時の運用訓練 |
(イ) | ペイロード共通運用訓練 |
(ウ) | 各サブシステム主要機器の不具合処置基本手順に係る訓練、保守訓練 |
(エ) | 居住に関する訓練、緊急帰還訓練 |
訓練教材(マニュアル、ビデオ)、訓練装置等を使用して実施する。
平成13年4月2日から5月25日(8週間)
ジョンソン宇宙センター
NASDA: | 古川聡、星出彰彦、角野直子 |
ESA: | Thomas Reiter, Pedro Duque, Leopold Eyharts, Roberto Vittori |
NASA: | Heidemarie M. Stefanyshin-Piper |
ロシア: | Konstantin Valkov、CSA:不参加 |
NASAが担当するISSの構成要素の通信系、環境制御系、電源系等について、正常時の運用訓練、主要機器の不具合処置手順等に係る訓練を講義及びトレーナを用いて行う。
NASDAの宇宙飛行士のうちISSへの滞在が想定される搭乗運用技術者(MS)については、NASAで実施される当面の訓練項目については免除されるが、MCOPで調整の上、必要な時期にアドバンスト訓練に参加させる予定である。
ISS搭乗宇宙飛行士は、国際合意に基づき図-1に示す訓練フローに従い訓練を受け飛行することとなっている。基礎訓練終了後認定されたISS搭乗宇宙飛行士は、各国の宇宙飛行士とともにアドバンスト訓練を受ける。アドバンスト訓練を終了した宇宙飛行士の中から実際に飛行するISS搭乗宇宙飛行士の飛行割当が行われ、当該飛行期間に実施するミッションに関する訓練(インクリメント固有訓練)を受けて搭乗に至る。
氏名 | 生年月日・出身地 | 現在までの活動状況 | ||||||||||
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古川 聡![]() |
1964年4月4日 神奈川県横浜市出身 |
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星出 彰彦![]() |
1968年12月28日 東京都世田谷区出身 |
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角野 直子![]() |
1970年12月27日 千葉県松戸市出身 |
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ISS:国際宇宙ステーション