本資料は4月18日に行われた宇宙開発委員会での「宇宙開発に関する基本計画に盛り込むべき事項のポイント(委15-2-1)」に対し、宇宙開発事業団の中期計画担当部門の考え方、議論のポイントを纏めたものであり、本資料に基づき宇宙開発委員会で「宇宙開発に関する基本計画」の制定に向けての論議が行われました。
1. NASDAの役割について
関係の研究機関、利用機関及び企業との役割分担・連携のもとで、
(1) |
プロジェクトの企画立案、実施、成果の還元 |
(2) |
日本の宇宙開発の中核的基盤センターとしての機能発揮
・ |
専門家を擁し研究・開発の推進 |
・ |
先端技術、不具合情報等、宇宙開発にかかる技術情報の集約・蓄積・提供 |
・ |
試験、打上げ、運用等の施設の整備、維持、提供 |
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(3) |
専門技術による宇宙開発の牽引 |
2. NASDAの改革の基本方針
(1) |
より確実なプロジェクトの遂行と技術基盤の強化 |
(2) |
フロントランナーとしての先端的な技術ミッションの開拓 |
(3) |
開発成果の利用促進、技術移転 |
1. 確実なプロジェクトの遂行
○ |
プロジェクトの確実な遂行のための方策 -プロジェクト実施体制・方法等の強化 -信頼性向上と品質保証の強化 -技術基盤形成の強化 |
○ |
NASDAと企業の役割分担は「責任の明確化」と、「資源の効率的活用」の観点で重要 |
○ |
システム全体の統一のとれた設計と責任明確化のための方策としてのプライム契約の重要性を認識 |
○ |
企業の技術の成熟度を踏まえ、衛星開発についてはプライム契約を更に進め、H-IIAロケットについても移行のための第一歩として、企業間での主要インタフェース部について可能な限り情報の相互提供の促進中。 |
○ |
完全なスペックの作成は不可能であり、NASDAからのトップダウン的指示と企業製造現場からのボトムアップ的提案の整合性をとった一体となった取り組が重要 |
○ |
「サクセスクライテリアの設定」「リスクマネージメントの実施」に当たっては定量的費用対効果の分析を目指す |
○ |
宇宙開発委員会の指針を踏まえた「第3者評価の実施」 |
2. 人材の育成・教育
○ |
「技術ユニット制」(組織横断的な同一専門技術者の資質向上システム)の導入と専門性の高い職員の中途採用 |
○ |
システム技術専門職員からのプロジェクトマネージャー候補の選別を行ってきたが、今後は更に踏み込み「プロジェクトマネージメント手法」の体系的整備と教育訓練の実施を行う計画 |
○ |
国際宇宙ステーションやロケットの相乗りの機会をとらえた大学機関等への教育プログラム支援 |
3. 事業の重点化と効率的運営
○ |
事業の優先順位付けと資源配分の重点化 |
○ |
「高度情報化」と「アウトソーシング」による事業の効率的運営 |
○ |
技術情報等の集約と発信 |
4. 国際協力の推進
○ 対等な立場、地域国際社会への貢献
5. 社会との調和の強化
○ 「説明責任」を果たし、更に「積極的説明」の努力
○ 国民の支持を得る
○ 関係機関との連携
6. 利用の拡大と成果の還元
○ 利用の開拓
○ 成果の公開、技術移転、成果の利用促進
7. 環境保全への配慮
○ 地上及び宇宙の環境保全
1. 宇宙活動基盤の強化
(1) |
宇宙輸送システム |
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○ |
当面はH-IIAロケットの開発を最重要課題と位置付け、組織をあげて取り組む |
○ |
H-IIAロケットを信頼性、経済性の面で実用的なものとして仕上げ、産業への移転を進める |
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(2) |
国際宇宙ステーション |
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○ |
日本実験棟を確実に開発し、打上げ |
○ |
運用利用体制の確立 |
○ |
一連の活動を通して有人宇宙活動の基盤技術を修得 |
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(3) |
基盤技術 |
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○ |
信頼性向上に係る技術の研究開発 |
○ |
基盤要素技術の確保・向上(「戦略的開発技術」と「評価技術」) |
○ |
信頼性のある宇宙用部品の確保 |
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(4) |
宇宙活動の基盤となる施設設備の開発・整備及び高度情報化 |
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○ |
宇宙開発活動を着実・効果的に推進するための地上インフラ及びデータ中継等の宇宙インフラの整備・開発 |
○ |
プロジェクトの企画から試験、運用、利用に至るライフサイクルを通した研究・開発を確実かつ効率的に行うための高度情報化環境の整備 |
○ |
情報の一元化・発信のための高度情報化 |
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2. 社会経済への貢献
(1) |
地球観測 |
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○ |
地球規模の環境変動に対応するため、宇宙からの地球環境モニタリング手法を確立、気象予報の精度を向上 |
○ |
地図作成、地域観測、災害状況把握、資源探査等による国民の安心・安全で快適な生活貢献 |
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(2) |
通信・放送・測位 |
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○ |
政府の「IT革命の推進」の一環として、高度情報通信インフラの構成要素となることを目指して先端的通信衛星の開発を行い、移動体通信及びギガビット級固定通信の技術を実験実証 |
○ |
今後、大きな需要が期待される衛星測位に関する基本技術の獲得 |
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(3) |
国際宇宙ステーション利用 |
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○ |
ISS/JEMの長時間の微小重力環境や有人支援能力など、地上や衛星では得難い環境を利用し、新しい材料や医療品の創製や宇宙科学、宇宙技術等各種先端科学技術に貢献する革新的な科学技術成果の獲得 |
○ |
より広い分野にわたっての宇宙技術利用の拡大 |
○ |
ISS/JEMを利用した文化・青少年教育等の普及活動を積極的に行い、新たな利用体系や価値観の創出、科学技術教育への貢献 |
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3. 先端科学技術への挑戦
(1) |
先端科学技術 |
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○ |
科学技術創造立国を目指す我が国の国際的な技術的優位性を確保するため、産学官の英知を集結し、新規性・独創性ある先端技術を開発・利用して、将来の宇宙システムの革新を図る |
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(2) |
宇宙科学研究 |
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○ |
宇宙科学研究所、国立天文台と連携協力し、月の起源と進化の解明並びに月利用の可能性調査のためのデータ取得を目的に、段階的な月探査計画を策定 |
○ |
月周回ミッションの開発打上げを確実に行うとともに、データ利用体制の整備を推進 |
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