プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

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「きぼう」利用多様化のためのフィジビリティスタディ選考結果について

平成13年8月1日

宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

1.報告事項

 「きぼう」利用多様化の促進を目的とした利用アイディアの選考結果及び選考したテーマの今年度の進め方を報告する。

2.経緯

(1) 国際宇宙ステーションにおける日本の実験施設「きぼう」の本格的な利用に向け、宇宙開発委員会宇宙環境利用部会報告(平成12年度)において、「きぼう」の初期利用フェーズの推進方策として、「きぼう」利用の多様化を段階的に推進することが適当とされた。また、そのための推進方策の一つとして、利用の促進及びリスク回避のため、事業団が複数のパイロット・プロジェクトを試行し、その結果を評価した上で、順次、本格的な民間利用に移行するものとしている。
(2) 同報告を受け、本年3月9日に第1回「きぼう」利用シンポジウムを実施した。ここにおいて、平成13年度に実施する第1回パイロット・プロジェクトテーマ(サービスモジュールに搭載する高精細度テレビジョン(HDTV)カメラの利用アイディア)のほか、平成14年度以降「きぼう」打上げ前に実施可能なその他の利用アイディアについてのフィジビリティスタディ実施を発表した。3月15日から6月20日まで提案を募集したところ、34テーマの応募があった。

3.選考経緯

(1) 提案書類をもとに事業団内外の委員で構成する選考委員会(別紙1)により以下の観点による評価細目について評価した。
○利用拡大効果
○利用多様化効果(新規性)
○実現性
○発展性
(2) 書類選考結果集計をもとに、第一次選考会で14テーマを選定した。
(3) 一次選定の14テーマについて提案者による企画提案会を開催した。
(4) 企画提案会による評価をもとに最終選考会で9テーマ(別紙2)を選定した。

4.今後の進め方 

 選定した9テーマについて、今後提案者と実施内容等を調整の上、今年度は主として概念検討レベルのフィジビリティスタディを提案者と共同で実施する。年度末に成果を評価して次年度引き続き実施するか否か検討する。



選考委員会委員


○委員長
池田  要 (宇宙開発事業団理事(宇宙環境利用システム本部長))
○外部委員
中野 不二男 (作家)ISS・JEM広報アドバイザー、シンポジウム準備検討委員会座長
田村 和子 (共同通信社 客員論説委員)ISS・JEM広報アドバイザー
大島 まり (東京大学生産技術研究所 助教授)ISS・JEM広報アドバイザー
的川 泰宣 (宇宙科学研究所 教授)

○宇宙開発事業団委員
堀川  康  (宇宙環境利用システム本部 副本部長)
小沢 秀司  (     〃      宇宙環境利用推進部長) 
三輪田 真  (     〃      有人宇宙活動推進室主任開発部員)
福田 義也  (     〃      主任開発部員(ISS広報担当))
矢代 清高  (     〃      宇宙環境利用研究センター 長)
吉冨  進 (     〃           〃     次長)
北原 弘志  (     〃      宇宙ステーション運用技術部長)
白木 邦明  (     〃      JEMプロジェクトチームプロジェクトマネージャ) 
岩田  勉  (技術研究本部企画調整部長)


最終選定テーマ概要


[産業界での利用拡大につながる可能性のあるもの]

(1)宇宙ロボットコンテスト-「空(そら)を、かける。」-(石川島播磨重工業(株)ほか)
 無重量下でロボットに競技を行わせるロボットコンテストを、教育面での利用拡大も考慮の上実施する。今年度は実施内容(コンテストのルール、競技内容等)に関わる概念検討を行う。
(2)スターメール((株)アイ・エイチ・アイ・エアロスペース)
 ISSを経由するメッセージサービス。今年度は実施に向けた技術的・制度的検討を行う。
(3)宇宙ガーデニング(石川島播磨重工業(株))
 宇宙飛行士のヒーリングなどを目的として「きぼう」で簡易な植物栽培を行う。今年度は実施に向けた概念検討を行う。
(4)「きぼう」利用拡大のための宇宙における食文化の検討プロジェクト(女性宇宙フォーラム(市民団体))
 宇宙食に係るデータ整理、宇宙食・パッケージの提案・開発等を行う。今年度は実施体制及び実施内容を固める。
(5)「きぼう」利用拡大のための宇宙における服飾の検討プロジェクト(女性宇宙フォーラム(市民団体))
 素材や機能やデザインの観点から宇宙での日常着の検討・提案を行う。今年度は実施体制及び実施内容を固める。
(6)その他1件
 提案者の希望により、提案内容及び提案業者名は非開示。

[教育・文化的な利用拡大につながる可能性のあるもの]

(7)「きぼう」搭載カメラを利用した宇宙教育システム(Space Eye Net)(東日本国際大学浅井義彦助教授)
 提案には「きぼう」搭載カメラを活用したリアルタイム教育システムなど複数のアイディアを含むが、今年度は既存データ・映像を教育目的で有効活用することを目指す。
(8)宇宙舞踊(お茶の水女子大石黒節子教授、東洋琴学研究所ほか)
 無重量下で芸術的な舞踊を行う試み。今年度はパラボリックフライトでのテストフライト実施を目標とした概念検討を行う。
(9)アートのワークショップ(女性宇宙フォーラム(市民団体))
 宇宙と科学技術の融合や、アートを通じた「きぼう」のイメージ表現の試み。今年度は、芸術家グループとの対話を通じて実施内容の明確化を目指す。