プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

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自在性確保を目指した基盤技術の強化策

平成13年7月11日

宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

1.先端・基盤技術の強化の考え方

○ 我が国の宇宙活動の安定的・継続的な遂行に必要な技術(基盤技術)とそれを支える体制(基盤)を強化し、次世代でのフロントランナーを目指した技術(先端技術)に挑戦する。
技術基盤強化の方策
  • 基盤技術の識別(技術マップ)
  • 基盤技術強化の3本柱
    1.プロジェクトの確実化、信頼性向上
    2.宇宙用部品に関する自在性の確保
    3.競争力のある共通技術開発
  • 先端技術への挑戦
技術を支える体制の強化
  • 三機関、大学、企業の専門家を結集した体制を確保し、技術が蓄積・継承される体制を整備。

2.宇宙用部品に関する自在性の確保

(1)ETS-VI及びH-IIロケットの開発にあっては、国際的水準に到達すべく自主開発を標榜し、国産部品の採用をした。
 その後は自在性を損なわない範囲で国産にこだわらず、低価格部品の使用を行ってきた。

(2)しかしながら、宇宙用部品の国際間取引に対する規制等に左右されない、自在性を確保することが重要であり不可欠である。

3.諸外国の宇宙技術に関する輸出規制

(1)米国
・通信衛星及び衛星関連技術が商務管理リストから軍需品リストに移管された(1999年3月)。
(国務省の審査期間や技術支援契約の審査範囲などの観点から、宇宙技術の輸出管理は厳しい。)
(2)フランス

・ミサイル関連技術輸出規制に則って個別に審査している。

4.輸出規制に伴う影響

過去次のような影響があった。

(1)輸出許可手続きに時間がかかり入手スケジュールに遅れが生じた。
開発スケジュールに影響

(例)各種衛星の電子部品


(2)部品にかかる必要な技術データが入手できない。
・システム総合評価に支障
・不具合解析が困難


(例)誘導・制御機器

5.宇宙用部品に関する自在性の確保

●部品研究開発プログラム

1.国内に技術を確保するコンポーネント・部品
・不具合が多発する輸入部品・材料
・機能・性能を制する重要部品・材料
・長納期部品・材料

2.海外からの輸入で代替するコンポーネント・部品
製品の品質・信頼性を確認するために、評価技術の確保を図る。