宇宙開発事業団
宇宙輸送システム本部
本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。
(1) | 平成 8年 | 4月〜平成11年8月: | 開発試験 |
(2) | 平成12年 | 3月〜5月: | 信頼性向上試験 |
【目的】厳しい作動範囲を含む寿命確認(1台分の認定試験相当) | |||
(3) | 9月: | 試験機1号機用エンジン領収燃焼試験 | |
(4) | 10月〜11月: | 信頼性向上試験 | |
【目的】高負荷作動条件における耐久性に係る技術データの蓄積 |
試験後の分解点検において液体水素ターボポンプ(FTP)の1段タービンディスクのブレード間部(A部)及び1段タービンディスク前面突起部(B部)に疲労破面を伴う亀裂が認められた(図-2)。
ブレード振動による機械的変動応力にメカニカルシールからの漏洩低温水素の増加によるベース熱応力が畳重し、亀裂が発生
メカニカルシールからの漏洩低温水素の増加による熱疲労(タービンノズル封止蓋の有無等による温度サイクル)により、亀裂が発生
( 金属疲労破面の現象解明は、金属材料技術研究所の協力を得て平成13年1月〜2月にかけて比較に必要な低温環境下におけるインコネル材の基礎データ取得のための材料試験を実施した。
また、上記については数値流体解析を行い(図-3)、熱応力を算定することによりその妥当性を確認した。)
メカニカルシールについては、開発時の単体試験結果から作動秒時を経ると定常作動中および起動/停止時の漏洩量が増加する傾向が認められている(図-4)。今回は、要求寿命(18回/2400秒)を超える着火34回/4365秒のメカニカルシールの累積作動が行われており、分解点検の結果では従来品と同程度のシール摩耗量ではあったが、システムへの影響が把握されたものである。
なお、2400秒の要求寿命内における耐久性については、開発段階において既に3台のエンジンについて同種の亀裂は発生しないことが確認されている。
また既に領収燃焼試験を実施済みの試験機1号機用FTPについては、メカニカルシールに係る製造・試験データ等の履歴を詳細に再評価した結果、問題ないことを確認済みである。