宇宙開発事業団
本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。
宇宙開発事業団では、平成12年12月5日より種子島宇宙センターにおいて LE-7Aエンジン技術データ取得試験を実施中である。今回の試験シリーズでは、長秒時再現性データ蓄積、大きな振動が発生する可能性のある部位に関するデータ取得及び実飛行時の入口圧模擬等を行うことを目的としており、予定7回のうち最後の長秒時(350秒)試験を除き6回を終了し、良好な試験データを取得できている。
1月20日に実施した第7回目の試験準備作業において設備のトラブルが発生して以来、計3回の設備のトラブルが発生し試験を3回延期した。これらの状況につき報告する。
試験準備作業における計測系校正時に、計測系コンピュータが異常なデータを出力した。電源の再立ち上げ等を実施したが、状況は回復せず試験を中止した。
コンピュータメーカの自己診断プログラムにより、四則計算を行うチップを内蔵する基板(データパスボード)に異常があることが判明した。
このため当該基板を新品と交換し、自己診断プログラムで全く異常のないこと、実際に校正作業を行い問題ないことを確認し、1月24日に再度試験を実施することとした。なお、より確実に試験を行うため、計測設備開発担当メーカとコンピュータメーカが、次回試験時に立ち会うこととした。
試験直前の最終準備段階で、エンジン火炎冷却用の冷却水系メインバルブ(電動弁)が遠隔操作のモードに切り替わらないという現象が発生したため、試験を中止した。
冷却水メインバルブの機側にある制御盤内にある制御リレーのプラスティックケースの劣化により、当該リレーのコイル抵抗が落ちていることが判明した。
このリレー及び同様なリレーを交換し、問題なく冷却水メインバルブの操作が行えることを確認した。また、水平展開として類似の制御盤を用いてエンジン試験直前に作動する物について(エンジン取り付け用台車等)点検を行った。さらに、念のため燃焼試験前に実作動状態を確認しない機能(冷却水系メインバルブとポンプの連動運転、未燃水素ガス処理用外部トーチ点火、推進薬供給タンク加圧制御)の実作動確認を実施した。
試験準備作業における校正後、計測系コンピュータをデータのモニタモードに切り替えたところ、キーボードが操作不可能となり、モニタが初期入力の状態となった。電源の再立ち上げを実施し作業を継続したが、その後も現象が数度再発した。原因究明に時間を要すると判断し、試験を中止した。
コンピュータメーカの自己診断プログラム結果により、フロッピディスク装置(FDD)系統の異常が判明した。また、計測ソフトウェアの動作中にモニタが初期状態に戻ってしまう現象であることから、コンピュータ本体の4つの主ボードに異常がある可能性もあると判断した。
当該FDDは試験時には使用しないため、コンピュータとの接続を切り離すことにした。またコンピュータ本体の4つの主ボードを新品と交換した。その後この状態で24時間コンピュータを作動させ、自己診断プログラムによるチェック及び実試験時と同負荷の作動を行い、異常のないことを1月31日午前までに確認する予定である。
上記のトラブルに対する最終的な改善状況を確認した後、速やかに燃焼試験作業に移行する予定である。