プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

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MTSAT打上代金に係る調停事案の処理について

平成13年3月21日

宇宙開発事業団

  1.  H-IIロケット8号機による運輸多目的衛星(MTSAT)の打上失敗(平成11年11月15日)を受けまして、打上契約の相手方である運輸省(現国土交通省)航空局・気象庁は、契約に定める業務が履行されていないとして、打上代金総額100億円のうち最終年度(平成11年度)分35億円の支払いを留保しておりました。
     このため、契約の当事者である運輸省と宇宙開発事業団との間で協議を重ねてまいりました。その過程では、円滑な問題の解決について、監督官庁の立場を有する科学技術庁(現文部科学省)及び運輸省の当該部局も交えた協議も行われましたが、本件契約に関する両当事者の解釈に相違があることが明らかになったため、民事調停に委ねたいとする運輸省(当時)側の意向も踏まえ、同契約に定める紛争解決条項に基づき、平成12年9月13日、事業団から東京地方裁判所に民事調停を申し立てたところです。

  2.  今般、裁判所から次のような調停案が示され、本日(3月21日(水))午前に行われた調停におきまして、国土交通省及び事業団とも、この調停案を受け入れたことから、調停が成立したことをお知らせします(調停結果を記載した「調停条項」は別紙のとおりです。)。

    (1) 本契約は、請負契約の性質を主として有する契約であり、衛星のトランスファー軌道への投入により仕事が完成するものであること。
    (2) しかしながら、事業団の業務はロケット製造業務と打上業務という、性質の異なる2つの業務に分類可能であり、製造業務はすべて完了したため、これについては代金全額の請求権があるものの、打上業務はトランスファー軌道投入失敗により仕事の完成に至らなかったため代金請求権が発生しないこと。
    (3) このため、本件契約の未払金35億円のうち、事業団が請求し得る契約代金は、打上業務代金計9億2478万8143円を控除した25億7521万1857円とし、国土交通省は右金額を事業団に支払うのが相当であること。
    (4) 本件契約に関し、他に何らの債権債務のないこと。

  3.  調停成立を受けまして、事業団は、国土交通省より、上記金額の納付を今月30日(金)までに受ける予定です。