プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

プリント

野口聡一宇宙飛行士のスペースシャトルSTS-113
(国際宇宙ステーション組立ミッション(ULF1))への搭乗決定について

平成13年4月10日

宇宙開発事業団

 宇宙開発事業団は、米国時間4月9日、米国航空宇宙局(NASA)より野口聡一宇宙飛行士をスペースシャトルSTS-113(国際宇宙ステーション組立ミッション(ULF1))にあてることに決定したとの連絡を受けましたのでお知らせいたします。

 野口宇宙飛行士の搭乗については、従来から宇宙開発事業団より米国航空宇宙局(NASA)に要請していたところですが、米国時間4月9日に開催された山之内秀一郎理事長と米国航空宇宙局(NASA)ダニエル・ゴールディン長官の会談の際、ゴールディン長官より上記回答があったものです。

 野口宇宙飛行士は、1996年5月宇宙開発事業団によりミッションスペシャリスト(MS)候補者として選定され、同年8月からMS訓練に参加しました。1998年4月にNASAからMSとして認定された後、NASAジョンソン宇宙センターにてMSとしての技能の維持・向上のための訓練を継続するとともに、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」の技術支援業務等に参加してまいりました。

 STS-113は、ISSへの利用補給(実験装置や交換機器の輸送)を目的としたミッションで、2002年7月に打上げが予定されています。スペースシャトルとしては16回目の国際宇宙ステーション組立ミッションです。

 このたびの決定にあたり、日米両国の関係者の皆様方から賜りましたご協力・ご支援に対し、心から御礼申し上げます。



理事長談話
野口聡一宇宙飛行士のスペースシャトル(STS-113)への
搭乗決定について


平成13年4月10日

 昨日、NASAのゴールディン長官から、2002年7月打上げ予定のスペースシャトル(STS-113)のミッションスペシャリスト(MS)として、当事業団の野口聡一宇宙飛行士の搭乗が決定した、との話があったことを、非常に喜ばしく思っております。

 この、野口宇宙飛行士が搭乗するSTS-113は、利用補給フライトと呼ばれるもので、国際宇宙ステーションへ実験装置や交換用機器等を輸送することを目的としています。

 野口宇宙飛行士は今回が最初のスペースシャトルへの搭乗になりますが、今後彼が日本の実験棟「きぼう」の組立・運用に携わるにあたって大きな経験になるものと確信しております。

 昨年秋の若田宇宙飛行士のSTS-92搭乗に引き続き、野口宇宙飛行士が国際宇宙ステーションの組立を担当することとなり、国際宇宙ステーション計画への我が国の貢献を深め、技術蓄積等日本の有人宇宙活動にさらに大きな発展をもたらすものと考えております。

 このたびの決定にあたり、NASAをはじめとする内外の関係者の皆様方から賜りましたご尽力に対し、心から感謝いたします。


野口 聡一の略歴


氏  名 野口 聡一 (のぐち そういち)
生年月日
年  齢
昭和40年4月15日
35歳
現  職
宇宙開発事業団 宇宙環境利用システム本部
宇宙環境利用推進部
宇宙飛行士
学  歴
平成 元年 3月 東京大学工学部航空学科卒業
平成 3年 3月 東京大学大学院工学系研究科
航空学専攻修士課程修了
職  歴
平成 3年 4月〜8年6月 石川島播磨重工業(株)在職
8年 5月 宇宙開発事業団により、ミッションスペシャリスト(MS)候補者に選ばれる
8年 6月 宇宙開発事業団に入社
8年 7月 MS候補者の訓練コース参加のため渡米
8年 8月 MS訓練コースに参加
10年 4月 MS基礎訓練コース修了 NASAおよび宇宙開発事業団からMSに認定される。
  7月〜8月9日 ロシアのガガーリン宇宙飛行士訓練センターにて体験調査
10年 8月 引き続きNASA MS訓練を実施、および国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」開発支援業務に携わっている
専  門 航空工学
家  族
子3人


ULF1ミッション概要


フライト概要

・フライト名 :ULF1(Utilization and Logistics Flight:利用補給フライト)
・STSフライト番号 :STS-113
・オービター :OV-105(スペースシャトル「エンデバー号」)
・打ち上げ予定日 :平成14年(2002年)7月
・発射場 :NASAケネディー宇宙センター
・軌道傾斜角 :51.6度
・搭乗員数 :7名
・飛行予定期間 :11日間

ミッション概要

  • スペースシャトルとして16回目の国際宇宙ステーション組立てミッション(ロシアによる組立てミッションを含めると20回目)。輸送物資を補給するため、国際宇宙ステーションに8日間ドッキングする。本フライトで第6次滞在クルー(3人)を地上からステーションに運び、第5次滞在クルー(3人)をステーションから地上に帰還させる。

  • UFL1ミッションでの輸送物資
    O MPLM-1(多目的補給モジュール)

    MPLMはイタリア宇宙機関(ASI)が開発したISSへの与圧補給品輸送モジュール。
    MPLMはシャトルのカーゴベイに搭載されて打ち上げられ、ロボットアームでISSのCBMに結合し、クルーがラックや補給品を搬入/搬出する。
    作業終了後は、再びシャトルのカーゴベイに格納され地上に持ち帰られる。
    O ULC(非与圧補給キャリア)

    曝露機器の輸送用のプラットフォームで、軌道上ではトラスに仮置きされる。
    O ESP2(外部収納プラットホーム、スペア・パレット)

    初期段階のISSの故障に備え、クリティカルな曝露機器の予備品を保管するプラットフォーム。
    O BCDU(蓄電池充電・放電ユニット)

    太陽電池で発電された電力はニッケル水素バッテリ(NiH2)へ蓄電される。
    BCDUは、太陽電池パドルからの発生電力が不足した際に、NiH2バッテリの充・放電制御を行う。
    O DDCU(DC-DCコンバーター・ユニット)

    一次電力供給システム(太陽電池パドル側)から送信されてきた電力(DC133V〜177V)をDC120Vに変換し、二次電力供給システム(システム側)へ分配する。
    O 冷却プレート

    (米国側)ISS構成要素のアビオニクス、ペイロード等から余剰熱を吸収し、熱制御システムの冷却水ループへ排熱する。
    米国実験棟(デスティニー)内だけで100基以上の冷却プレートが設置される予定。  

(参考)ULF1までに今後予定される国際宇宙ステーション組立て・補給ミッションの概要

(1) 6A (01年4月19日) :米国実験棟用ラック、宇宙ステーションロボットアーム(SSRMS)、UHFアンテナ
(2) 7A (01年6月14日) :エアロック
(3) 4R (TBD) :ドッキング室1(DC1)
(4) 7A.1 (01年7月12日) :補給ぎ装フライト
(5) UF-1 (01年11月1日) :実験ラック
(6) 8A (02年1月) :S0トラス
(7) UF-2 (02年3月) :実験ラック、モバイル・ベース・システム(MBS)
(8) 9A (02年5月) :S1トラス

(参考)ULF1ミッションで物資輸送に用いられるMPLMの形状図


野口宇宙飛行士コメント


国際宇宙ステーションへの利用補給ミッションという、大きな活躍の場を与えていただき、たいへん感激しております。これまでの皆様の励ましに感謝いたします。今後は来年夏のフライトに向けて訓練に注力していくとともに、日本人宇宙飛行士に対する皆様の御期待に応えられるよう、さらに努力していきたいと考えております。今後ともご支援のほどよろしくお願いいたします。

宇宙開発事業団  宇宙環境利用システム本部
宇宙飛行士  野口 聡一