宇宙開発事業団
本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。
7月6日(金)に種子島宇宙センターへ落雷があり、総合指令棟(RCC)を中心とした設備に障害が発生した。これに関する被害状況及び処置状況等について報告する。
7月6日17:55分頃、大きな雷鳴とともにRCCに落雷。その直後に雷・気象観測処理システムの機能が停止した。その後、1時間ほど射場上空で発雷が継続した(落雷は射場付近で約5回と思われる)。閃絡表示器が作動した箇所を図-1に示す。
種子島宇宙センター内の主要な被害状況と処置状況を下表に示すとおりであり、これまでの調査によれば、8月25日に予定されているH-IIAロケット試験機1号機の打上げへの影響はないものと考えている。
襲雷後の外観状況
大型ロケット組立棟高層棟に設置された閃絡表示器(*1)9ヶ所のうち、南東側の1カ所の表示器が作動。
*1:落雷があると誘導電流により作動し、赤布を放出して落雷地点を表示する機器(建屋の避雷針(接地線)に取り付けている。)
襲雷後の外観状況
竹崎総合司令塔(RCC)屋上避雷針の閃絡表示器が作動。その他、RCC近傍の第3配水池、竹崎気象観測所、竹崎管理棟(旧館)の閃絡表示器も作動。
H-IIAロケット試験機1号機の打上げに万全を期すとの観点から、念のために系統的に各設備の確認を実施。
設備及びロケットを制御・モニタする全ての系統について、End-to-Endの点検を実施し、健全性を確認する (7月8日〜7月12日)。
個々の機器の健全性を確認する。また、射場系の全機能を確認することを目的として既に実施済みであった局間試験及び射場/飛行安全系システム試験を再実施する(7月16日〜19日)。
(1) | 射点における避雷設備 4本の避雷針により機体を保護することとしている。 ![]() |
(2) | 大型ロケット組立棟(VAB)に関する避雷設備 VAB壁面に落雷した場合に、雷電流を地中に導く設計としてロケットを保護している。また、屋上には避雷針を設置し、屋上の装置類を含め保護している。 ![]() |
(3) | その他の建屋に関する避雷設備 原則として建築基準法に適合した避雷設備を設けている。さらに、そこで防止できない落雷・誘導雷等については、耐雷保護を講じることで対応することとしている。 |
電気機器類を落雷時の電圧から保護するため、機器又は系統に耐雷保護装置(サージ・アブソーバ)を挿入することとしている。
射点において避雷針に落雷した場合にアンビリカル等から流入する雷電流に対しては、ロケットの構造間を低抵抗でボンディングすることで電気的導通性(=雷電流経路)を確保し、搭載電子機器等を雷電流から保護している。また、火工品には原則として誤着火防止装置(セーフ・アーム装置)を適用し、安全性を確保している。