プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

プリント

スペースシャトルでのラット実験における残サンプル利用テーマ募集について

平成13年7月4日

宇宙開発事業団

 宇宙開発事業団をはじめとする各国宇宙機関が参加する国際ライフサイエンス戦略会合は、平成14年5月に打上げが予定されているスペースシャトル実験ミッション(STS-107)で米国とフランスの研究者が実施するラットの宇宙実験において得られる貴重なサンプルの有効利用を目的とした研究テーマを下記のとおり、国際的に公募することといたしましたので、お知らせいたします。

1. 公募の目的及び概要

 この公募は、限られた宇宙実験機会で得られる貴重なサンプルの有効利用を目的としており、国際協力作業により、臓器の摘出・保存処理と選定テーマ研究者への輸送を行うものです。(図1参照)(STS-107ラット実験については下概要参照。)
 公募は国際ライフサイエンス戦略会合(米国、欧州、フランス、ドイツ、カナダ、ウクライナ、日本の宇宙機関が参加)が行い、テーマの選定にあたっては、各国で評価推薦するテーマについて、本宇宙実験計画への貢献を考慮して調整の上選定します。

2. 募集の対象

 米国とフランスの研究者が、飛行後解析を行うために頭部等を採取した後の、残りのラット検体から取り出される臓器や組織を利用した研究テーマを募集する。
(利用可能な臓器、組織については下の「利用可能な臓器サンプルと処理条件」を参照)

3. 応募資格

 提案するテーマを実施できる能力をもったもの。
 提案者の国籍及び所属機関は問わない。

4. 受付期間

平成13年7月4日(水)〜8月29日(水)

5. 応募参加の際の問い合わせ先

国内事務局 (財)日本宇宙フォーラム TEL:03-3459-1653
FAX:03-5470-8426



STS-107スペースシャトルミッションの概要

1. 概要(平成13年6月現在)

(1) 打上飛行番号  :  STS-107
(2) オービタ コロンビア号
(3) 打上日 平成14年5月23日(米国日)予定
(4) 打上場所 NASA/ケネディ宇宙センター
(5) 第一帰還地 NASA/ケネディ宇宙センター
(6) 第二帰還地 カリフォルニア州ドライデン飛行場
(7) 実験期間 約16日間
(8) 搭乗員 7名

2. ラット実験について

 本ミッションでは、スペースシャトルのスペースハブ社の研究用モジュール内に3台のラット飼育装置(Animal Enclosure Module; AEM)が搭載され合計13匹のラットが宇宙実験に供される。米国とフランスの代表研究者が、生理学や細胞分子生物学分野等についての実験を行う。

3. その他

 日本はスペースシャトル・ミッドデッキに搭載される米国の装置を利用して、タンパク質結晶成長実験を行う予定である。

STS―107における利用可能な臓器サンプルと処理条件

GROUP A

ラット: Fisher344系雄性ラット、10週齢(打上げ時)
宇宙飛行ラット5匹、地上対照実験用ラット5匹

臓器処理条件、保存方法
(1)腓腹筋、ヒラメ筋、長指伸筋、足底筋、
前脛骨筋、長内転筋(左右),(2) 胸腺,
(3) 脾臓,(4) 副腎,(5) 腎臓,(6) 肺,(7) 心臓,
(8) 肝臓,(9) 精巣睾丸,(10) 胸腰椎,
(11) 脛骨、大腿骨、上腕骨(左右)
灌流固定後、生理食塩水中に保存(4℃)

GROUP B

ラット: SD系雄性ラット、9週齢(打上げ時)
宇宙飛行ラット8匹、地上対照実験用ラット8匹、通常飼育ラット8匹

臓器処理条件、保存方法
血液 断頭後、ヘパリン加チューブで回収、2000rpmで10分間遠心血漿を-70℃で凍結保存
長指筋、長内転筋、前脛骨筋(左右) 片方は10%ホルマリン固定、もう一方は液体窒素で凍結後、-70℃保存
胸腺 液体窒素で凍結後、-70℃保存
脾臓 10%ホルマリン固定、4℃保存
副腎 片方は10%ホルマリン固定で4℃保存、もう一方は液体窒素で凍結後、-70℃保存
心臓 10%ホルマリン固定
肝臓 一葉は10%ホルマリン固定、残りは液体窒素で凍結後、-70℃保存
精巣睾丸 片方は10%ホルマリン固定、もう一方は液体窒素で凍結後、-70℃保存
胸腰椎 灌流後、生理食塩水中に保存(4℃)
脛骨、大腿骨、上腕骨(左右) 片方は10%ホルマリン固定で4℃保存、もう一方は液体窒素で凍結後、-70℃保存

上記以外の保存方法を希望する場合、提案者は臓器保存のプロトコール、運搬方法、必要となる試薬等について提示願います。別途調整させて頂きます。