プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

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SELENE搭載カメラの募集について

平成13年11月7日

宇宙科学研究所
宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

1. 募集の概要

(1) 宇宙科学研究所(以下「宇宙研」といいます。)及び宇宙開発事業団(以下「事業団」といいます。)は、平成17年度に打上げ予定の月周回衛星(SELENE)に搭載する月探査及びSELENEプロジェクトの普及啓発を主目的とした15kg程度のカメラを募集します。
(2) 応募された提案については、宇宙研と事業団が外部の専門家を含めて設置する「SELENE搭載カメラ評価委員会(仮称)」により、カメラ搭載目的との適合、カメラ(動画)の性能、技術的実現性、提案機関の実施体制(資金的実現性、開発・運用体制)、成果の公表性、の観点から評価が実施され、その評価結果を受け、両機関が選定します。
(3) 選定後、提案機関と宇宙研及び事業団は、カメラ搭載に係る権利義務関係を定めた契約を締結し、協力して次の作業を行います。(以下契約を締結した提案機関を「カメラ提供機関」といいます)。
カメラ提供機関は、カメラの設計、製作、試験、射場における点検及び宇宙研及び事業団への引渡を行う。
宇宙研及び事業団は、カメラの安全審査、衛星への搭載、打上げ及び衛星の運用(カメラ操作を含む)を行う。
カメラ提供機関は、宇宙研及び事業団の衛星運用に協力するとともに、カメラ固有のデータ処理等を行い、その成果を公表する。
それぞれの作業を実施する経費はそれぞれが負担する。ただし、カメラ搭載に伴い必要となるSELENEの改修(地上設備を含む)については、カメラ提供機関の負担とする。
(4) 募集期間は12月7日(金)(必着)とし、カメラの選定は平成14年1月を目処とします。

2. 応募条件・資格の概要

(1) 応募するカメラは、以下の条件を満足している必要があります。詳細は別添1「搭載カメラの基準となる仕様と衛星とのインタフェース条件」をご参照下さい。
月探査及びSELENEプロジェクトの普及啓発という主たる目的に適うものであり、更に月利用可能性調査にも貢献するものであること。
宇宙研及び事業団が提示する技術仕様(衛星重量、衛星環境条件、衛星システムや地上システムとのインタフェース条件など)に適合するとともに、両機関が指定する時期までに設計・製作・試験を完了し引き渡せること。また、カメラ(動画)の仕様と衛星とのインタフェースについても、両機関の提示する条件を満足することを基準とする。
(2) 応募者は、日本国内の放送事業者に所属し、組織として応募可能であることとします。また、開発及び運用資金が負担でき、打上げ後のカメラ運用への協力及びカメラ固有のデータ処理が可能であることとします。
(3) カメラの取得映像は、原則として報道機関を含む国内外の機関に速やかに公開することとします。但し、番組などの製作に当たっては、提案機関に対し一定の優先的利用権が付与されます。詳細は、別添2「SELENEカメラ取得映像の取扱いについて」をご参照下さい。
(4) SELENEにおいては原則として14のミッション機器が優先します。また、募集するカメラの搭載及び打上げの実施と時期については周辺状況により変更される場合があります。
(5) 提案機関は、カメラの搭載に関して発生した損害について、宇宙研及び事業団に対する賠償の請求を行わないこととします。

3. 応募方法

4項のSELENE搭載カメラ公募担当にご連絡下さい。
応募用紙等をお送りいたします。

4. 請求先及び問い合わせ先

〒305-8505 茨城県つくば市千現2-1-1
   宇宙開発事業団
   衛星総合システム本部 衛星プログラム推進部
   SELENE搭載カメラ公募担当(永井・大境)
    Tel:0298-68-2714, 2722  Fax: 0298-68-2984



搭載カメラの基準となる仕様と衛星とのインタフェース条件


 搭載カメラを計画する際に必要となる、カメラ本体の基準仕様とSELENE側からの基本的なインタフェース条件等を示します。搭載カメラ選定後には、後日、詳細な条件等について調整させて戴きます。

1. カメラ画像

高精細カラー動画像を取得できること
 ・解像度:1000テレビ本程度
 ・コマ数:24コマ毎秒以上
 ・赤、緑、青の階調が各8ビット以上

2. 連続記録時間

連続記録時間30秒以上

3. 搭載機器の質量

合計15kg程度

4. 搭載場所

衛星の構体外部に搭載

5. 衛星の定常運用軌道と姿勢・軌道制御

 衛星の定常運用軌道は、月周回極円軌道であり(ノミナル軌道高度100km)、定常姿勢は、月心指向三軸安定姿勢である。カメラ撮像のために、衛星の姿勢・軌道制御は行わない。

6. 撮像機会(運用)

 撮像機会は、既に搭載が決定している14種類の科学ミッション機器の運用・データ取得、及び衛星運用に影響を与えない範囲に限られる。

7. 熱的インタフェース

 搭載機器は、独立熱制御(衛星側と断熱インタフェース:熱入出量5W未満)を原則とする。機器内部に温度制御用ヒータを有すること。

8. 電気的インタフェース

 衛星側が供給する31.8V〜51.0VDCの電源で駆動できること。

9. データインタフェース

 取得映像データの保持機能を有すること。
 取得データの衛星システムへの伝送レートは、最大8Mbps程度とすること。

10. 正弦波振動

 ロケット発射時及びその他の時点に作用する下記の正弦波振動環境に耐えること。機器取付け面にこの振動が4オクターブ/分の速度で1往復作用するものとする。

(1) 機軸方向
5〜15Hzに対して 10.0G、15〜100Hzに対して 20.0G
(2) 機軸と直角方向
5〜15Hzに対して 10.0G、15〜100Hzに対して 20.0G

11. ランダム振動

 ロケット発射時の第1段エンジン及び固体ロケットブースタが発生する音響並びに大気中飛行中の遷音速時の機体外の圧力変動から生じる、下記のランダム振動レベルに耐えること。機器取付け面にこの振動が40秒間機軸方向及び機軸に直交2軸方向に作用するものとする。

振動数(Hz) レベル
20〜80 +9dB/oct
80〜133 0.3G2/Hz
133〜400 -3dB/oct
400〜900 0.1G2/Hz
900〜2000 -8dB/oct
Overall 12.6Grms

12. 衝撃

 衛星が発生する下記の衝撃レベルに耐えること。

振動数(Hz) レベル
100〜800 +8dB/oct
800〜4000 1000Gsrs

13. EMC(電磁適合性)

 電界放射雑音限界(RE02)特性は、観測機器の観測に悪影響を与えないこと。
 また、発生する磁界は、下記を目標とする。

DC磁場 1m離れて30nT以下
DC磁場変動 1m離れて10nT以下

14. 耐放射線

 ミッション達成に十分なトータルドーズ耐性、シングルイベント耐性を有すること。

15. 部品

 衛星とのインタフェース部分には、クラスS(相当)部品を使用する。

16. フライトモデルの衛星への引渡し時期

 2003年2月末とする

17. 実現可能性根拠の提示

 提案時に、上記の条件を満足し開発可能であることの十分なデータを示すこと。



SELENEカメラ取得映像の取扱いについて


SELENE搭載カメラによって取得された映像は、原則として国内外の機関に速やかに公開されます。取得映像の取扱いの詳細は次の通りです。

1. 取得映像の自己利用

  • 宇宙研、事業団及びカメラ提供機関(以下「三者」という。)は、自らの判断で、取得映像を自らの業務に使用する(以下「自己利用」という。)ことができます。この場合、必要に応じて取得映像の第三者への開示、第三者による編集等を行うことができます。但し、関連会社が主体となって取得映像を利用する場合は、自己利用ではなく第三者利用と見なします。

    2. (取得映像の)報道目的での利用

  • 取得映像は、報道目的のために速やかに公開することとします。
  • 取得映像の報道機関への提供は、三者いずれもが行うことができます。
  • 取得映像は、その品質に係わらず公開することとします。

    3. 報道目的以外の第三者利用

  • 第三者(報道機関を含む。)から、宇宙研又は事業団に報道目的以外の映像使用要請があった場合、宇宙研又は事業団は、第6項に定める営利目的の使用でないことを確認するとともに、カメラ提供機関に事前に了解を得て当該第三者に映像を提供することとします。
  • この場合、カメラ提供機関は、第三者から使用要請があった時点において、当該第三者からの番組企画内容とカメラ提案機関が企画中の番組内容が極めて酷似しているか、放送日時が極めて近いと客観的に判断できるとき以外は、当該第三者に対して映像の使用を承諾することとします。
  • カメラ提供機関に同様の映像使用申請があった場合、カメラ提供機関は第6項に定める営利目的の使用でないことを確認するとともに、当該第三者への映像提供について、宇宙研及び事業団に通知することとします。

    4. 学術研究、教育普及等の第三者利用

  • 三者は、国内外の公的機関等による学術研究、教育及び普及啓発を目的とした映像の使用については、自らの判断で映像を提供できることとします。

    5. 営利目的での利用

  • 三者又は第三者かを問わず、取得映像の営利目的での利用は、この取決めの範囲外であり、必要に応じて、三者で別途協議される合意に基づき実施されるものとします。ただし、カメラ提供機関自らの放送番組の製作及びその放送については、自己利用と見なします(関連会社による映像ソフトの販売等は除く)。

    6. 取得映像使用時の協力者表示について

  • 取得映像使用時は、三者により取得されたものである旨の表示を行い、第三者による利用の場合には、これを義務づけることとします。