プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

プリント

月周回衛星(SELENE)へのカメラ搭載及び搭載提案公募について

平成13年11月7日

宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

経緯

◆平成10年4月 宇宙開発委員会でSELENEの開発了承
◆平成13年3月末に衛星システムの基本設計審査会(PDR)が終了し、現在、詳細設計を実施中

●平成12年7月
NHKよりHDTVカメラをSELENEに搭載したいとの申し入れ
以降、NHKが独自にフィジビリティスタディを実施(〜平成13年3月)
●平成13年4月
SELENE共同プロジェクトチームで、NHKのスタディ結果を評価。搭載可能と判断
ただし、搭載機会の公平性確保のため、NHK提案を含め、搭載提案を公募(AO)して、カメラを選定することとした。(AO:Announcement of Opportunity)
●平成13年5月
ISAS理学委員会で、カメラ(動画)の搭載について了承
●平成13年11月6日
NASDA理事会にて、カメラの搭載及びAOの発出について了承

NHK提案のHDTVカメラ

●構成:カメラ部と電子装置部一体型
カメラ部 200万画素CCD
電子装置部 1分間の動画等(2Gbyte)を処理、
記録し、データ処理系へ転送

●諸元
質量      約16.5kg
電力 約50W(動画取得時)
サイズ 460×420×280mm3

HDTVカメラ内部構成

HDTVカメラ搭載図(予想)

搭載の意義

(1) 広報的な意義:月面上の「地球の出」の動画撮像等を実施
●月探査及びSELENEプロジェクトの普及啓発
●宇宙開発と科学技術への国民の関心喚起
   広報的な意義の背景
●平成12年12月の宇宙開発委員会で制定された「中長期戦略」
・国民の科学技術リテラシーの重要性
・科学技術全般に係わる国民に対する普及・啓発
●SELENEについては、開発研究フェーズへの移行時に、宇宙開発委員会から広報的な意義の重要性について勧告 

(2) 月利用可能性調査への貢献

(3) 従来の衛星搭載機器よりも高集積度の装置の宇宙実証

SELENEプロジェクトへの影響
-NHK提案のHDTVカメラについて-

●技術的実現性
SELENE共同プロジェクトチームで検討。
保証される運用時間等に制約はあるが、技術的には、主たる目的である「広報用の月周回軌道上での動画像取得」を達成できる見込み。
衛星システム設計、運用への影響を極力無いようにしており、搭載は可能と判断。

●スケジュール
FY14概算要求の前提となっているスケジュール(FY17打上げ)に影響ない見込み。

●資金
搭載に係わる追加経費は、すべてカメラ提供者の負担。

搭載カメラの選定

搭載機会の公平性を確保するために、AOを発出
NHKの提案と同等以上の搭載機器の提案を公募
応募資格は放送事業者とする
▼広報的な意義を満たすために広く公開する必要
NHK以外の応募があった場合には、ISASとNASDAで
「SELENE搭載カメラ評価委員会(仮称)を設置」

実施形態

ISAS、NASDA及び提案機関の三者で、搭載条件、責任関係等を定めた協定(仮)を締結し、実施

なお、三者間で、別途、カメラの取得映像の取扱いを定めた覚書(仮)を取り交わす

今後の進め方

本日の報告後、AO発出
▼NHK及び民放連等へ通知
12月7日(金)
▼AO締め切り、その後、応募があった場合は選定委員会開催
12月下旬
▼NASDA理事会議で審議
平成14年1月
▼宇宙開発委員会へ報告

 ただし、応募がNHK以外に無い場合は、締め切りの段階でNHKの提案を選定する