宇宙開発事業団
本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。
スペースシャトル・ディスカバリー号(STS-105/国際宇宙ステーション組立ミッション(7A.1))の運用結果について報告する。
スペースシャトル・ディスカバリー号(STS-105/7A.1)の打上げから帰還までの日程は、以下の通りである。
● | 打上げ日時 | 2001年8月11日 | (土) | 午前 6 時10 分 | (日本時間) |
2001年8月10日 | (金) | 午後 5 時10 分 | (米国東部夏時間) | ||
● | ドッキング日時 | 2001年8月13日 | (月) | 午前 3 時42 分 | (日本時間) |
2001年8月12日 | (日) | 午後 1 時42 分 | (米国中部夏時間) | ||
● | ドッキング解除日時 | 2001年8月20日 | (月) | 午後11 時52 分 | (日本時間) |
2001年8月20日 | (月) | 午前 9 時52 分 | (米国中部夏時間) | ||
● | 着陸日時 | 2001年8月23日 | (木) | 午前 3 時23 分 | (日本時間) |
2001年8月22日 | (水) | 午後 2 時23 分 | (米国東部夏時間) |
項目 | 概要 | |||||||||||||||||||||||
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STSミッション番号 | STS-105 | |||||||||||||||||||||||
オービタ名称 | ディスカバリー号(ディスカバリー号としては30回目の飛行) | |||||||||||||||||||||||
打上げ日時 | 2001年 8月10日午後 5時10分(米国東部夏時間)2001年 8月11日午前 6時10分(日本時間) ロンチウィンドウ(打上げ可能時間帯):5分以内 |
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打上場所 | フロリダ州NASAケネディ宇宙センター(KSC)39A発射台 | |||||||||||||||||||||||
飛行期間 | 約12日間 | |||||||||||||||||||||||
搭乗員数 |
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軌道高度 | 投入点高度:約226km (122海里) ランデブー高度:約380km (205海里) |
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軌道傾斜角 | 51.6度 | |||||||||||||||||||||||
帰還日時 | 2001年8月22日午後 2時23分(米国東部夏時間)2001年8月23日午前 3時23分(日本時間) |
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帰還場所 | 主帰還地:フロリダ州NASAケネディ宇宙センター(KSC) | |||||||||||||||||||||||
主要搭載ペイロード | カーゴベイ | 多目的補給モジュール(MPLM)「レオナルド」 初期アンモニア充填装置(EAS)、 材料曝露実験装置(MISSE) 実験ペイロード |
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ミッドデッキ | ISSへの補給品、実験装置等 |
スペースシャトル・ディスカバリー号によるSTS-105/7A.1ミッションは、シャトルによる国際宇宙ステーション(ISS)の組立フライトとしては11回目。ロシアのロケットによる打上げを含めると14回目の組立フライトである。(プログレス補給船による補給フライト4回を除く)
このフライトには、第3次滞在クルー3人が搭乗し、2001年3月18日の着任以来約5ヶ月間ISSに滞在していた第2次滞在クルー3人との交替が行われ、8月13日にISSの指揮権が委譲された。
スペースシャトルには下記を搭載した多目的補給モジュール(MPLM:Multi-Purpose Logistics Module)「レオナルド」が打ち上げられた。MPLMは過去に「レオナルド」と「ラファエロ」が1回ずつ打ち上げられている。
EXPRESSラック2台はデスティニーに据え付けられたが、補給品保管ラックおよび補給品保管プラットフォームは搭載された補給品をISSに搬入した後、MPLMとともに地上に回収された。(別紙2参照)
また、スペースシャトルには初期アンモニア充填装置(EAS)および材料曝露実験試料(MISSE)を収納した容器PEC(Passive Experiment Container)2個も搭載され、船外活動(EVA)にてISSに取り付けられた。(別紙3参照)
(7A.1フライト前後のISSコンフィギュレーションを別紙4に示す。)
本ミッションによりISSは次のとおりとなった。
(1) | 第3次滞在クルーの活動が開始された。 |
(2) | 実験ラックが2台増え、計5台となった。(EXPRESSラック4台、HRF(Human Research Facility)ラック1台) |
(3) | 初期外部能動熱制御ループの媒体であるアンモニアが軌道上で補給できるようになった。 |
8月21日18:23(日本時間)にバイコヌール宇宙基地から打ち上げられ、8月23日18:51(同)にISSとドッキングした。
このフライトには、食料・燃料その他の補給物資と伴にサービスモジュールを利用するNASDAの宇宙実験装置「微小粒子捕獲実験装置および材料曝露実験装置(MPAC&SEED)並びに映像取得実験(HDTVカメラ実験)装置」が搭載された。
ISSではHDTVカメラを用いた医学実験が開始された。(別紙5のロシアサービスモジュール(SM)を利用するNASDA宇宙実験の状況を参照)
1. EXPRESSラックEXPRESS(Expedite the Processing of Experiment to the Space Station)ラックは実験ラック(ISPR:International Standard Payload Rack)の一種であり、宇宙実験までの準備期間を短縮すると共に、インテグレーション作業を軽減するために開発されたラックである。 計8台のEXPRESSラックの内、6Aフライトで2台が運ばれ、今回更に2台がMPLM「レオナルド」に搭載され運ばれた。 |
![]() 図2-1 EXPRESSラック |
2. 補給品保管ラック(RSR)及び補給品保管プラットフォーム(RSP)補給品はクルーが運び出しやすいように布製バックに詰め込まれてRSRやRSPに搭載される。
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![]() 図2-3 MPLMに搭載したRSP |
![]() 図2-2 MPLMに搭載されたRSR |
![]() 図2-4 斜め前方から見たRSP |
初期アンモニア充填装置および材料曝露実験装置は、シャトルのカーゴベイに搭載される曝露カーゴ・キャリア(ICC:Integrated Cargo Carrier)に取り付けられ運ばれた。(下図3-1参照)
図3-1 シャトル・カーゴベイのICC上に搭載されたEASとMISSE(PEC)
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図4-1 7Aフライト終了時のISS |
図4-2 7A.1フライトミッション中のISS |
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図4-3 7A.1フライト終了時のISS |
8月21日(火): | プログレス補給船(5P)が、日本時間8月21日(火)18:23にカザフスタン共和国バイコヌール宇宙基地から打ち上げられた。 |
8月23日(木): | プログレス(5P)は日本時間18:51にISSとドッキングした。 |
8月24日(金): | ISSクルーによりMPAC&SEED及びHDTVカメラがSMへ搬入された。HDTVカメラはSM内にて組み立てられた後、電源投入され動作確認が行われた。 |
8月25日(土): | HDTVカメラを用いた第1回目の医学実験を17:02から約10分間、18:34から約10分間の2回に分けて行った。ヘッドセットを使って交信が行われ、画像は鮮明にダウンリンクされた。なお、実験開始前に代表研究者であるNASDA宮本招聘研究員とISSロシア人クルーとの挨拶が行われた。 |
8月26日(日): | HDTVカメラを用いた第2回目の医学実験を16:02から約13分間、17:37から約12分間の2回に分けて実施。画像・音声ともに良好にダウンリンクされた。 |
8月27日(月): | NASDA・ロシア側技術者間で今後の作業調整を行い、NASDA事務所を撤収した。 |
(1) | 地上で録画した医学実験の画像はダビングして日本に持ち帰った。 |
(2) | HDTVカメラで撮影した画像は軌道上にあり、本年10月下旬頃のソユーズタクシーフライト(3S)で地上へ持ち帰る予定。 |
(3) | HDTVカメラ実験は今後1年間にわたり、引き続き実施される予定。(医学実験は約1ヶ月毎、広報応用実験は適宜行われる) |
(4) | MPAC&SEEDはSM内に保管され、10月に予定されている船外活動にてSM外壁に取り付けられる予定。 |