プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

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スペースシャトル・アトランティス号(STS-98/国際宇宙ステーション組立ミッション(5A))の運用結果について(報告)

平成13年2月21日

宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

1. 報告事項

 スペースシャトル・アトランティス号(STS-98/国際宇宙ステーション組立ミッション(5A))の運用結果について報告する。

2. 打上げ結果

 スペースシャトル・アトランティス号(STS-98/5A)の打上げから帰還までの日時は、以下の通りである。

打上げ日時 2001年 2月 8日(木)午前 8時13分(日本時間)
2001年 2月 7日(水)午後 6時13分(米国東部標準時間)
ドッキング日時 2001年 2月10日(土)午前 1時51分(日本時間)
2001年 2月 9日(金)午前10時51分(米国中部標準時間)
ドッキング解除日時 2001年 2月16日(金)午後11時06分(日本時間)
2001年 2月16日(金)午前 8時06分(米国中部標準時間)
着陸日時 2001年 2月21日(水)午前 5時33分(日本時間)
2001年 2月20日(火)午後 3時33分(米国東部標準時間)
(当初日本時間の2月19日に着陸予定であったが、悪天候により2日延期となり、代替帰還地のカリフォルニア州エドワーズ空軍基地に着陸した。)

3. スペースシャトル・アトランティス号(STS-98/5A)のミッションの概要

 スペースシャトル・アトランティス号によるSTS-98/5Aミッションは、シャトルによる国際宇宙ステーション(ISS)の組立フライトとしては7回目。ロシアのロケットによる打上げを含めると10回目の組立フライトである。(プログレス補給船による補給フライト2回を除く)
 この飛行では米国実験棟(デスティニー)を打上げ、軌道上でマニピュレータシステム(RMS)と3回の船外活動(EVA)によって組み立てる。
(STS-98 / 5Aフライト飛行概要を別紙1に示す。)

4. 組立運用結果

 2月10日(土)から2月16日(金)までのドッキング期間中に3回の船外活動を行ない、米国実験棟デスティニーの取付け・起動、P6右舷ラジエータの展開、姿勢制御装置(CMG:Control Moment Gyroscopes)の起動、Z1トラスへの予備のSバンドアンテナ取付けなどを行った。今回は特段の問題はなくミッションを完了した。

 これにより、次回フライト5A.1以降デスティニー内に実験ラックを搭載し、本格的な実験運用を開始する準備が整った。

 また、デスティニーの起動により以下の主要機能がISSに追加された。

(1) CMGによりスラスタを使用せずに姿勢制御を行う機能。これにより推進剤の節約、姿勢制御精度の向上、及び微小重力環境の維持が可能になる。
(2) 米国側の生命維持システムにより温度制御、CO2除去、汚染物質の除去を行う機能
(米国実験棟(デスティニー)の概要を別紙2に、5Aフライト前後のISSコンフィギュレーションを別紙3に示す。)

5. 次回ISS組立フライト予定

 次回ISS組立フライトは、スペースシャトル・ディスカバリー号(STS-102 / 5A.1)の打上げが2001年3月8日(木)に予定されている。
 11月初めより4ヶ月以上ISSに滞在しているCrewの交替、および実験ラックを搭載した多目的補給モジュール(レオナルド)の取付けが行われる予定である。
 この実験ラックは、有人医学分野のライフサイエンス研究に使われるHRF(Human Research Facility)ラックであり、NASDAの中性子モニタ装置(BBND)も含まれる。

 なお、5A.1フライトの最新状況を以下に示す。

39B射点への移動 2月12日(月)
多目的補給モジュール(レオナルド)の搭載 2月26日(月)
打上げ 3月 8日(木)



別紙1 STS-98 / 5Aフライト飛行概要


項目概要
STSミッション番号 STS-98
オービタ名称 アトランティス号(アトランティス号としては23回目の飛行)
打上げ日時 2001年 2月7日18時13分(米国東部標準時間)
2001年 2月8日 8時13分(日本時間)
ロンチウインドウ (注) 5分以内
打上場所 フロリダ州NASAケネディ宇宙センター(KSC)39B発射台
飛行期間 約13日間
搭乗員数 5名
コマンダー ケネス・コックレル
パイロット マーク・ポランスキー
ミッションスペシャリスト ボブ・カービーム
ミッションスペシャリスト トーマス・ジョーンズ
ミッションスペシャリスト マーシャ・アービンズ
軌道高度 投入高度:約320km(173海里)
軌道傾斜角 51.6度
帰還日時 2001年 2月20日15時33分(米国東部標準時間)
2001年 2月21日 5時33分(日本時間)
帰還場所 カリフォルニア州 エドワーズ空軍基地
主要搭載ペイロード カーゴベイ 米国の実験棟(デスティニー)
ミッドデッキ ISSへの補給品

    (注)打上げ可能時間帯




別紙2 米国実験棟(デスティニー)の概要


 米国実験棟(デスティニー)はISSの最初の実験棟であり、微小重力を利用した実験装置を、目的に応じて交換することができると共に、ISSの環境・電力・通信等を制御する装置を備えている。米国実験棟(デスティニー)の内部は地上と同様な環境が保たれており、地上と同様な服装で過すことができる。

 デスティニーは、長さ8.5m、直径4.2m、重量約14tのアルミ合金製の与圧実験室であり、開発費用は約14億ドルである。開発は、ボーイング社が担当し、1995年にNASAマーシャル宇宙飛行センター(MSFC)内で組立を開始した。デスティニーの取り付けにより、ISSは、長さ約52m、幅73m、高さ27m、重量112トンとなる。また、居住可能な与圧部の容積を比較するとミール宇宙ステーションよりも大きくなる。

 デスティニー内には、右舷、左舷、天井、床面の4面に合計23台のラックを設置できるが、STS-98打上げ時には5台のシステム・ラックしか搭載していない。これは、シャトルの搭載重量の制限により外されたものであり、3月に打上げを予定している5A.1(STS-102)で更に残り6台のシステム・ラックと1台の実験ラックが運ばれることになっている。