プレスリリース

このプレスリリースは宇宙開発事業団(NASDA)が発行しました

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環境観測技術衛星(ADEOS-II)の打上げ準備状況について

平成14年12月4日

宇宙開発事業団

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

1.ADEOS-IIのミッション

  • 地球観測プラットホーム技術衛星(ADEOS)による広域観測技術の継承・発展を目的とする衛星。
  • 人類共通の緊急課題である地球環境問題に係る全地球的規模の水・エネルギー循環のメカニズムの解明に不可欠な地球科学データの取得を目的とする衛星。
  • 宇宙開発事業団(NASDA)、環境省(MOE)、米国航空宇宙局(NASA)、仏国立宇宙 研究センター(CNES)の開発したセンサを搭載する国際協力プロジェクト。



2. ADEOS-IIの準備状況

(1)ADEOS-II射場作業スケジュール

ASDESII / H-IIAロケット4号機打上げ整備作業全体スケジュール

(2)射場整備状況(今後の作業予定)

月日場所作業名作業内容
12月6日 SFA

VAB
・フェアリング移動 フェアリング内に収納されたADEOS-IIの衛星フェアリング組立棟(SFA)から大型ロケット組立棟(VAB)への移動
12月6日

12月13日
VAB ・フェアリングのロケット搭載・衛星システム点検
・カウントダウン(Y-3〜Y-0)
・衛星/フェアリングとロケットの結合
・ロケット搭載状態での衛星状態の確認
12月13日 VAB

射点
・機体移動 大型ロケット組立棟(VAB)から射点へのロケットの移動
12月14日 射点 ・ターミナルカウントダウン ・打上げコンフィギュレーション設定
・打上げ

(3)DRTS異常事象の影響評価

NoDRTS異常事象影響評価
1 Y-0衛星パワーオン作業時の異常 ADEOS-II衛星立ち上げ時の電流過渡特性を測定し、ADEOS-II用射場電源のリミッタ設定値が適切であることを確認した。また、ロケット燃料充填前に衛星電源をONとする。
2 第3回目アポジエンジン噴射(AEF)中の酸化剤枯渇 ADEOS-II推進系は1液式でありオリフィス(絞り)は使われていない。配管および弁類について、製造図面、部品リスト、試験結果を再点検し、設計どおり製造され、品質上問題のないことを確認した。
3 DCアークジェットの推力低下 これまでのADEOS-IIでの試験実施結果および製造記録について、JPLの協力も得て詳細に再点検した結果、追加・点検項目はないと判断した。
4 発生電力低下 ADEOS-IIの製造履歴(全MIPを実施)及びこれまでの試験実施結果を再点検し、問題なしと判断した。
MIP: Mandatory Inspection Point
JPL : ジェット推進研究所(NASA)
AEF : Apogee Engine Firing
DC : Direct Current



3.打上げ後の主要スケジュール




4.ミッション達成度

打上げ後の評価基準

達成度定義 【】内は判断時期
0 打上げ失敗または衛星の全面的な機能喪失。
【打上げ直後】
1 バスの機能が確認される。
【初期チェックアウト終了時】
2 一部のセンサが機能し、全球観測データの取得ができる。
【初期チェックアウト終了時】
3 NASDAセンサが機能し、全球観測データの取得ができる。
【初期チェックアウト終了時】
4 ○3年間の運用及び軌道上技術評価を通じADEOSによる広域観測技術の継承・発展が検証できる。
○地球環境問題に係る全地球規模の水・エネルギー循環のメカニズム解明に有益な地球科学データを3年間提供できる。
【設計寿命3年終了時】
5 達成度4のデータ提供が3年以上できる。